記事詳細
【国際情報分析】
中国が台湾のWHO総会認めず国際機関を私物化 「中国台湾省」と呼んだマーガレット女史
台湾当局は、5月下旬にジュネーブで開催された世界保健機関(WHO)の総会に出席が認められなかった。中国の反対によるもので、民主進歩党の蔡英文政権が中国が主張する「一つの中国」原則を受け入れていないことへの圧力の一環だ。中国当局の一連の言動は、国連の専門機関をあたかも自国の政府機関の一部のように扱う横暴さの一方で、自国の論理をWHOに巧妙に潜り込ませる周到さを感じさせた。
1年前に伏線
「台湾地区が今年、出席できない責任は完全に民進党当局にある」
中国で対台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室の安峰山報道官は5月8日、こう述べた上で、その原因は「民進党当局が『一つの中国』原則を体現する『1992年コンセンサス(合意)』を認めない」からだと台湾側を責めた。
この日はWHO総会への出席申手続きの締め切り日。8年間連続で届いていたオブザーバー参加の招待状が届かず台湾当局がいらだちを見せる中、中国政府自らWHOへの圧力を間接的に認めた形だ。
伏線は昨年のうちに敷かれていた。総会出席問題が浮上したのは、92年合意を積極的に主張し2009年から「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」名義でオブザーバーとして出席が認められていた中国国民党の馬英九政権から、合意を認めない民進党の蔡英文政権への交代直前。招待状を受け取るのは馬政権だが、出席するのは蔡政権という微妙な時期だった。