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【矢板明夫の中国点描】トランプ会談で対北先制攻撃の「時間稼ぎ」に成功した習近平氏 危機先送り、重い代償と背中合わせ

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【矢板明夫の中国点描】
トランプ会談で対北先制攻撃の「時間稼ぎ」に成功した習近平氏 危機先送り、重い代償と背中合わせ

 習氏がこの時期に訪米したのは「時間稼ぎのためだ」と指摘する共産党関係者がいる。今秋に習政権2期目の人事が決まる党大会が予定されており、党内各派による抗争が白熱している。米国がもし党大会前に北朝鮮に対し先制攻撃を実施するなど、中国の周辺情勢の激変を引き起こすような行動をとれば、党内の政敵に指導部批判の口実を与えかねない。党大会を無事に乗り切りたい習氏が、急いでトランプ氏に会いに行ったのは、過激な行動を控えるように説得するためである。

 北朝鮮に対する圧力を強化する気がないのに、習氏が「任せてくれ」と発言したならば、トランプ大統領を欺いたことになる。しかし中国が何もせず、半年ないし1年後、北朝鮮の核・ミサイル開発がさらに進んだ場合、だまされたことに気付いたトランプ氏はどう行動するのか。北東アジア情勢の緊張は今よりさらに高まるかもしれない。米中融和ムードで終わったように見える今回の習氏訪米は危機を先送りしただけではなく、より大きな危険を引き起こす可能性もはらんでいる。(外信部次長)

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