産経ニュース

【佐藤優の世界裏舞台】中国の庇護下にあった金正男氏 暗殺は北朝鮮の孤立化をますます強める

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【佐藤優の世界裏舞台】
中国の庇護下にあった金正男氏 暗殺は北朝鮮の孤立化をますます強める

作家の佐藤優氏 作家の佐藤優氏

 13日、マレーシアで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄にあたる金正男(ジョンナム)が殺害された。北朝鮮が国家として関与した暗殺事件の全容が明らかになることはない。また、各国の思惑が錯綜(さくそう)し、さまざまな情報操作が行われるため、マスメディアで報じられる情報の真贋(しんがん)を判定することが難しくなる。従って、この事件に関してはどうしても主観的要素が入ってしまうが、それでも大きな流れは間違えずに分析することができる。

 金日成(イルソン)、金正日(ジョンイル)の血筋の金正男の存在が危険であると考えた金正恩の指令に基づいて、今回の暗殺作戦が実行されたと筆者は見ている。金正恩は北朝鮮国内では労働党、軍、秘密警察を完全に掌握し、権力基盤は盤石だ。しかし、父親の金正日時代に北朝鮮の事実上の後見国であった中国との関係が緊張している。

 金正恩にとって最大の関心事は、米国から北朝鮮の体制を転覆させないという保証を取り付けることだ。そのために国際社会の反発を無視して核実験、弾道ミサイル発射実験を続けている。しかし、米国は金正恩の思惑通りには動かずに、むしろ北朝鮮に対する姿勢を硬化させた。このような状況で、中国が金日成、金正日の血筋を引く金正男を北朝鮮の指導者にして、金正恩体制を転覆させる危険があるという情報が、金正恩の耳に入ったのだと思う。

続きを読む

「ニュース」のランキング