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【薬師丸ひろ子】
薬師丸ひろ子「35年も歌を聴いてもらっていること自体が奇跡です」 映画と音楽をテーマに『シネマソングス』…
サウンドトラックを聴いたりして、主題歌でなくても、耳に残るもの、記憶に残るものを選んで、音楽の役割が非常に分かりやすいというか、時代とともに変化していることに気付かされましたね。
〈洋楽が8曲といっても、そのまま英語詞で歌った曲もあれば、日本語の訳詞で歌った曲もある〉
当初は、「洋楽だけに絞ってみては」という意見もあったんです。ただ、日本の方に聴いてもらうものとしては、岩谷時子先生をはじめ素晴らしい訳詞がついているものもあり、日本語が載った美しいものもあったので、そういう曲も垣根なくランダムに選んでいいかもと思えましたので、方向転換したんです。
〈結果的にバラエティーに富んだ選曲となり、アルバム自体の幅も広がった。選曲の根底には、歌の先人たちに教わったことがあった〉
私にも歌の先輩方がいらして、その方々に常々言われていたのは、「決して歌わされるな、歌いたいものを歌え。それが信念になる」ということなんです。
「あまちゃん」(NHK朝の連続テレビ小説、2013年)のときも、同じメロディーや歌詞であっても、ドラマの中の心情とか、岩手・久慈に行ったときの気持ちを考えて、違うものを歌いたい、という自分の気持ちが何となくあったんですね。
映画音楽ではありながら、古い歌をそのまま歌うのではなく、古さをテーマにしないで、きれいな美しいメロディーラインは変わらなくても、今聴く人に対して、今の音楽にしたいと思ったんです。