産経ニュース

【田村秀男のお金は知っている】なぜ日経新聞はイトマン事件を矮小化したのか? 超弩級のスクープが3面の段物に 他紙は黙殺…

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【田村秀男のお金は知っている】
なぜ日経新聞はイトマン事件を矮小化したのか? 超弩級のスクープが3面の段物に 他紙は黙殺…

あらゆる法的措置をとる 100億円の不渡り確定で対応に入ったイトマン本社 =平成3年、午前10時10分 あらゆる法的措置をとる 100億円の不渡り確定で対応に入ったイトマン本社 =平成3年、午前10時10分

 他紙は無視する。3面段物記事なら、まあ参考にしておき、新材料をまぶして後日自社の特報とすればよいというわけだ。そうなると、新聞業界で言う特報とはみなされない。新聞社の習癖はできることなら他紙の後追いはしたくない。だが、1面アタマなら各紙の編集陣はライバル紙が後追い記事を書くので、遅れるわけにいかなくなるのだ。

 恥ずべきことに日経は事件の矮小(わいしょう)化に努めた。9月20日付では朝刊1面で「伊藤万、債務3500億円圧縮-不動産売却、住銀も協力」。いわばマッチポンプ。住銀とイトマンの両首脳に依頼された別の記者が書いたのだ。

 93年2月のイトマン事件の公判において、黒幕の総会屋が日経の幹部に東京・永田町のホテルで1000万円を手渡したという話が、検事調書に書かれていることが明らかにされた。この幹部は黒幕に大塚の個人情報を流したという。日経社内は大騒ぎになり、徹底的な社内調査の揚げ句、該当者はいないとの結論を出したが、日経はイトマンの黒幕たちになめられていたのだ。

 日経編集局は銀行界首脳の意向を優先し、バブル融資の反社会性や銀行界のゆがんだ構造を正そうという気はなかった。國重氏は、住銀や大蔵省(現財務省)などのイトマンへの及び腰の対応がその後の「空白の10年」につながったと指摘しているが、運命の記事を編集した者として、長く反芻(はんすう)してきた言葉だ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

「ニュース」のランキング