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【不妊治療のやめ時を考える(3)】不妊と向き合ったからこそ分かった 「命の意味を考えられた」「夫婦の絆も深まって…」

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【不妊治療のやめ時を考える(3)】
不妊と向き合ったからこそ分かった 「命の意味を考えられた」「夫婦の絆も深まって…」

不妊治療の末に、夫婦2人の生活を楽しく過ごしている永森咲希さん夫婦 不妊治療の末に、夫婦2人の生活を楽しく過ごしている永森咲希さん夫婦

 「治療をやめても、簡単に気持ちを切り替えられるわけではありません」

 東京都の永森咲希さん(52)は、治療終結に悩む人を支援する一般社団法人「MoLive(モリーヴ)」の代表として、カウンセリングを行っている。

 永森さん自身も不妊治療の経験者だ。35歳のときに夫の翔太さん=仮名=と結婚。37歳から不妊治療を始めた。外資系自動車販売会社の仕事も辞め、治療中心の生活。しかし、なかなか妊娠できずに余計に子供への思いは募った。42歳のときに妊娠したが、3カ月で流産。治療の限界を感じているとき、同世代の知人の訃報が相次いだ。さらに永森さん自身、卵巣がんの疑いが指摘された。結果的にがんではなかったが、不妊治療が怖くなった。「生命の力には限りがある。これ以上無理はしなくていい」

 すでに43歳。お金や時間、キャリア…。失ったものは多かったが、治療を続けることはできなかった。

 「凍結していた受精卵、戻さなくてもいいかな」

 不妊治療クリニックの待合室で携帯電話を握りしめ、翔太さんにメールを送った。返事はすぐに来た。「どんな決断も尊重するよ」

 医師に治療終結を告げ、クリニックを出ると、解放されたような気持ちと大きな喪失感に心が揺れた。

 決断に納得できたのは夫の顔を見たときだ。その日、帰宅した翔太さんを玄関で出迎えると、夫は泣き笑いの表情で、「長い間、頑張ってくれてありがとう」と言ってくれた。

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