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【月刊正論】政府も悩む皇室「パンドラの箱」 退位・譲位の制度化がはらむ皇室の尊厳を脅かす危険性とは… 麗澤大教授・八木秀次

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【月刊正論】
政府も悩む皇室「パンドラの箱」 退位・譲位の制度化がはらむ皇室の尊厳を脅かす危険性とは… 麗澤大教授・八木秀次

象徴としての務めについてのお気持ちを表明される天皇陛下=8月7日、皇居・御所応接室(宮内庁提供) 象徴としての務めについてのお気持ちを表明される天皇陛下=8月7日、皇居・御所応接室(宮内庁提供)

 皇室典範制定時には、『生前退位』を認めない代わりに『重大な事故』として対処すればいいとの議論もされていたが、摂政設置は天皇に意思能力が欠けている場合の制度だとすれば(四六回衆院内閣委員会:高辻正己内閣法制局長官)、意思能力が存在する場合の代行である『国事行為の臨時代行に関する法律』によって摂政就任順位に従って臨時代行を置けばいい。」(横田耕一「憲法からみた天皇の『公務』そして『生前退位』」、『世界』9月号)

 私は今でも横田氏と基本的認識を同じにする。

次の世代を縛ることになる?

 陛下は今回、摂政を置くことの問題点に触れられ、国事行為の臨時代行についても「天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます」とされていることから、否定的であると思われる。

 ただ、政府としては、これらも(1)(2)とともに有力な選択肢としてそのメリット、デメリットを挙げて慎重に検討しなければならない。ことは国家の基軸である皇室の存立基盤に関わる問題であり、陛下のご意向は尊重しつつも、ご生前での退位・譲位ありきでの検討であってはならず、他の解決策も併せて考えるべきだろう。

 陛下は全身全霊で「象徴」としての務めを果たすことができなければ、天皇の地位にあるべきではないと考えていらっしゃる。繰り返し言うように、そのご姿勢は陛下のご人格の誠実さを示しており、限りなくありがたい。しかし、皇室の次の世代にも同じく求めることを国民がすれば、それは皇室を過剰に縛りつけることにならないだろうか。

 天皇にはそのお役割の重要性とともに、その大前提として、神話に由来し、初代の神武天皇以来一貫して男系の血だけで継承されてきた血統原理に基づくゆえの、他に代わる者がいないというご存在自体の尊さがある。さらに言えば、陛下には天皇の位にいらっしゃること自体に十分意義があり、在位なさることで既にお役割を十分に果たしているとも言える。

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