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【月刊正論】政府も悩む皇室「パンドラの箱」 退位・譲位の制度化がはらむ皇室の尊厳を脅かす危険性とは… 麗澤大教授・八木秀次

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【月刊正論】
政府も悩む皇室「パンドラの箱」 退位・譲位の制度化がはらむ皇室の尊厳を脅かす危険性とは… 麗澤大教授・八木秀次

象徴としての務めについてのお気持ちを表明される天皇陛下=8月7日、皇居・御所応接室(宮内庁提供) 象徴としての務めについてのお気持ちを表明される天皇陛下=8月7日、皇居・御所応接室(宮内庁提供)

 退位・譲位を議論するには、このことをよく考えなければならず、陛下のそのままのご意志が実現できるかは明らかではない。皇太子殿下が次に皇位を継承されることは明確であるものの、天皇の地位のあり方をめぐって、さまざまな議論が行われ始め、どのように定められるか分からなくなっている。「天皇陛下のご真意は、こうだ」などと、臆測も飛び交っている。人々の不安は、国家の基軸ともいうべき天皇の存在について、国民の気持ちが不安定になっていることの裏返しではないか。

終身在位否定と陛下の責任感

 今回の陛下のご意向を尊重して退位・譲位を認めれば、現在の皇室制度が前提としている終身在位制の否定になる。あるいは、いったん天皇の地位に就いたならば、崩御までその地位にあらねばならないという終身在位制と、陛下がお考えになり、追求されてきた「象徴」としての務めは、ご高齢になるにしたがって十分にできなくなってくることから、矛盾を来し始めているとも考えられる。そのことは、陛下の「既に80を越え、(中略)次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」というお言葉にもにじんでいる。

 陛下がお考えになる「象徴」の務めとは「国民の安寧と幸せを祈ること」と「事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」、さらには「日本各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅」のことであろう。ここには憲法に定められた国事行為について言及されていないが、言うまでもない当然の「務め」とされているものと拝察される。

 「国民の安寧と幸せを祈る」とは、伝統的な宮中祭祀とともに、陛下が「日本人として忘れてはならない4つの日」とされる沖縄戦終結の日(6月23日)、広島への原爆投下日(8月6日)、長崎への原爆投下日(8月9日)、終戦の日(8月15日)等において捧げられる「祈り」や、サイパン、パラオ、フィリピンを含む内外での戦没者への慰霊などのことをおっしゃっているものと思われる。

 「事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添う」とは常に弱い立場にある人たち、日の当たらない場所にいる人たちに対して寄り添われること、例えば、福祉施設へのご訪問や被災地への精力的なご訪問などを指すものと思われる。

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