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【湯浅博 全体主義と闘った思想家】独立不羈の男・河合栄治郎(57)その生涯編・盧溝橋事件

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【湯浅博 全体主義と闘った思想家】
独立不羈の男・河合栄治郎(57)その生涯編・盧溝橋事件

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(土曜日に掲載します)

「迫りつつある戦争」予測

 河合栄治郎は東京帝大の経済学部長を辞して、再び一教授として自由の身になった。だが、栄治郎をして孤高の道を歩むことを許さない事態が大陸で起きた。昭和12(1937)年7月、盧溝橋事件の勃発である。近衛文麿内閣が発足して1カ月を過ぎたばかりであった。

 7日深夜、北京郊外の盧溝橋付近で夜間演習中の日本軍に向かって何者かによる2度の銃撃があった。栄治郎は支那事変の勃発を避暑地の長野県・軽井沢で聞いた。思えば昭和7年のベルリン滞在中から戦争を回避すべしと考えてきた戦争が、ついに現実となってしまった。

 彼は二・二六事件後の軍部が、政治に関与しすぎることに危険を感じていた。広田弘毅内閣の組閣に際し、寺内寿一陸相が「自由主義排除」を入閣条件に挙げ、受け入れなければ入閣しないと揺さぶりをかけた。

 栄治郎は盧溝橋事件の直前に、雑誌の『日本評論』昭和12年7月号に「迫りつつある戦争」を書いて、今後、起こりうる戦争を予測していた。

 彼は昭和6年の満州事変が勃発した当時と現在とを比較し、「差し迫れる日本の危機に直面して、竦然(しょうぜん)として膚に粟を生ぜずにはいられまい」と急迫の事態にあることを警告した。

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