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【野口裕之の軍事情勢】相模原市19人刺殺事件はナチスのT4作戦だったのか? 容疑者が感化されたヒトラーの歪んだ思想を紐解く

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【野口裕之の軍事情勢】
相模原市19人刺殺事件はナチスのT4作戦だったのか? 容疑者が感化されたヒトラーの歪んだ思想を紐解く

「津久井やまゆり園」で19人を殺害したとして逮捕された植松聖容疑者。「ヒトラーの思想が降りてきた」と話していた=7月27日午後、相模原市緑区(桐原正道撮影) ※一部画像を処理しています※ 「津久井やまゆり園」で19人を殺害したとして逮捕された植松聖容疑者。「ヒトラーの思想が降りてきた」と話していた=7月27日午後、相模原市緑区(桐原正道撮影) ※一部画像を処理しています※

 品種改良で「価値の低い木」は除去

 ナチスの差別は、植物にまで及んだ。しかも、極めて先進的な環境保護を手掛けつつ差別を進める側面は、あからさまな差別に比べて不気味さを際立たせる。あからさまな差別が許される道理はないが、平和思想にも思える環境保護とこん然一体と成った「種の保存」にも、前述のT4作戦やホロコーストと体系的に考察すれば、ゾッとさせられる。

 ナチスは、民族の健全な精神的性格形成は、森林など環境が決定すると考えた。若木伐採を禁止し、木材生産用の私有林を保護すべく《帝国森林荒廃防止法》を制定。《帝国自然保護法》では、種の保存▽天然記念物▽景観などを保護対象とした。監督・助言機関が設けられ、特定地域のみならず、国土全域の秩序だった保護を構想した点で国内外の高い評価を受けた。

 しかし、ナチスの自然保護政策はウラの顔を持つ。極めて政治的で狂信的な野望も埋め込まれていたのだ。

 ナチスは《森林の種に関する法律》に基づき、木を遺伝的価値の高低で区別し、価値の高い木で構成される森林の維持・管理や品種改良を行い、価値の低い木や林の除去を目指した。人種差別・民族浄化の腐臭が漂うではないか。

 帝国自然保護法にしても立法には積極的だったが、実運用に当たっては軍備増強や道路建設などを優先した。自然保護関連法整備は、「国民に対する人気取り」の道具役を担ったのである。

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