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【満州文化物語(28)】夢の欧亜国際連絡列車が走る 世界を縮めた「1枚の切符」とは…

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【満州文化物語(28)】
夢の欧亜国際連絡列車が走る 世界を縮めた「1枚の切符」とは…

平成11年に再現運行された「欧亜国際連絡列車」(JR品川駅) 平成11年に再現運行された「欧亜国際連絡列車」(JR品川駅)

 一方のロシア側は、「大連・満鉄ルート」が活性化すれば、「敦賀ルート」が寂(さび)れる。沿海州の軍事的・経済的拠点であるウラジオストクの価値が失われてしまうため、新京での列車接続をわざと不便にするなどの妨害措置に出た。

 そこで日本側が妥協案として出したのが「敦賀ルート」を強化する東京(新橋)-金ヶ崎(後の敦賀港駅)間直通、豪華な1等寝台車を備えた「欧亜国際連絡列車」の運行(明治45年6月開始)である。

 週3回、東京を夜出発する神戸行き急行寝台列車に連結し、翌早朝、米原(滋賀県)で切り離し、昼前には金ヶ崎に到着。同日夕方に出航するウラジオストク行きの定期船に連絡した。さらに東清・シベリア鉄道に乗り継ぎ西欧へ。《北日本汽船株式会社発行の「西伯利経由欧州案内」によれば、東京-ロンドン間の運賃は急行・寝台料込みで1等600円だった》(田中完一著「時代の証言者」より)という。

 歌人の与謝野晶子が同年5月、夫の鉄幹を追ってパリへ行ったときも「敦賀ルート」だった。タッチの差で「欧亜国際連絡列車」の運行開始には間に合わなかったが、15日間でパリへ到着している。

 「敦賀ルート」の利用は日本人と並んでロシア人が多かった。「欧亜国際連絡列車」はロシア革命後の混乱によって大正13(1924)年に一旦、運行が中止されるが、昭和2年に再開、先の大戦開始後の15年10月まで運行を続けた。

 大陸からヨーロッパへの夢とロマンを繋ぎ、世界との距離を縮めた「欧亜国際連絡列車」。戦後もイベント列車などとして何度か再現運行されている。

=敬称略、隔週掲載(文化部編集委員 喜多由浩)

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