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【湯浅博 全体主義と闘った思想家】独立不羈の男・河合栄治郎(48)その生涯編・1年ぶりの祖国

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【湯浅博 全体主義と闘った思想家】
独立不羈の男・河合栄治郎(48)その生涯編・1年ぶりの祖国

満州事変のきっかけとなった柳条湖での南満州鉄道線路爆破現場を調べる、国際連盟のリットン調査団=1932年 満州事変のきっかけとなった柳条湖での南満州鉄道線路爆破現場を調べる、国際連盟のリットン調査団=1932年

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(毎週土曜日に掲載します)

日独でファシズムの台頭

 河合栄治郎の乗った船が神戸に入港したのは昭和8年3月24日であった。1年ぶりの祖国の土である。ドイツ留学とほぼ並行して起きた事変や事件の数々を考えると、時代が猛烈な勢いで転回していることを思わないではいられなかった。

 留学したドイツのナチス運動と、日本の軍部台頭が、同時進行で動いているように見えた。彼はその2つを思い合わせ、祖国の前途に横たわる運命を予期して慄然(りつぜん)とした。

 栄治郎が日本を発(た)つ前年の昭和6年9月に満州事変が勃発した。関東軍参謀の板垣征四郎、石原莞爾らの謀略計画といわれていた。奉天近郊の柳条湖で満鉄線路を爆破して中国人の仕業と偽り、関東軍が攻撃を開始したとされている。

 栄治郎がベルリンに到着して間もない昭和7年5月17日、今度は海軍の青年将校らが犬養毅首相を暗殺した「五・一五事件」が発生したことを現地紙で知った。

 この事件を引き金に、日本の政党内閣制に終止符が打たれるとは考えなかった。事件後の斎藤実内閣から挙国一致内閣になり、思えばこれが日本ファシズム台頭の契機となった。

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