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【筆談キャッチャー 旅立ちの春(上)】キャンパスライフ始まる 音声情報確保は「自分でやる!」

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【筆談キャッチャー 旅立ちの春(上)】
キャンパスライフ始まる 音声情報確保は「自分でやる!」

4月6日、入学式の翌日のキャンパス。新人勧誘中のアメフト部員と筆談を交わす玉田宙=町田市 4月6日、入学式の翌日のキャンパス。新人勧誘中のアメフト部員と筆談を交わす玉田宙=町田市

 昨夏の高校野球東東京大会で耳の聞こえない「筆談キャッチャー」として話題になった、都立大森高の玉田宙(ひろ)が大学生になった。手話通訳など特段の支援はない。自力で授業の音声情報を確保しようと燃えている。日本手話を母語とする「ろう者」としてのアイデンティティーを持ち、新たな挑戦に踏み出した18歳。音のない青春をリポートする。

 「先生、今、何ていった?」 ペン1本で気軽に聞ける友達がほしい。それもたくさん。入学先の桜美林大リベラルアーツ学群(町田市)では、隣に座った学生に手話と筆談で声をかける毎日だ。

 4月中旬。始業ギリギリで隣に滑り込んできた男子に、「オレ聞こえないから。よろしく」といつものようにノートに書いた。「OK、よろしくね」。ペンを走らせる日焼けの顔に見覚えがある。「野球やってる?」

 なんと、昨夏の東東京大会4回戦で対戦した、関東第一高の投手、小松原健吾(19)だった。首都大学野球リーグ1部の桜美林に野球部員として入学していたのだ。小松原が昨夏を振り返る。「警戒していた相手の四番が玉田だった。まさか耳が聞こえないとは、試合中気付かなかった」。その後、関東第一は東東京大会を制し、甲子園で準決勝まで勝ち上がる。まぶしい思いでテレビを見ていた。「甲子園行ってどう?」「急にモテだした!」。筆談で打ちとけた。

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