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【秘録金正日(73)】後見人、張成沢処刑の真相 正恩「地球上から痕跡なくせ」 最期に「わずかな時間でいい。妻に会わせて…」

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【秘録金正日(73)】
後見人、張成沢処刑の真相 正恩「地球上から痕跡なくせ」 最期に「わずかな時間でいい。妻に会わせて…」

 成沢自身も軟禁状態に置かれ、党・政・軍の幹部らとともに処刑に立ち会わされる。機関銃に乱射される光景を目の当たりにし、気を失ったと伝えられる。

 12月8日には、金正恩が主催した党政治局拡大会議に引きずり出された。以前は同僚だった組織指導部第1副部長の趙延俊(チョ・ヨンジュン)や、成沢が抜擢(ばってき)した内閣総理の朴奉珠(パク・ポンジュ)、親交のあった副総理の姜錫柱(カン・ソクチュ)らが批判に立った。

 かつての盟友らの告発が続くなか、成沢は手にしていたボールペンをノートに突き刺すように強く振り下ろし、折ってしまう。4日後には、特別軍事裁判で死刑を宣告される。

 刑は即日執行され、数百発の機関銃弾が浴びせられた。無残に砕かれた遺体は火炎放射器でさらに焼かれた。「地球上から痕跡をなくせ」という正恩の指示に基づく処置といわれる。

 死を前に、成沢は「ほんのわずかな時間でいいから、妻に会わせてくれ」と懇願したという。妻で正恩の叔母の金敬姫(ギョンヒ)は、組織担当党書記の地位にあったとみられる。彼女が本当に実権を握っていたなら、熱愛の末に結ばれた夫の命だけは救おうとしただろう。

 しかし、3代世襲を歩み始めた北朝鮮に、2人の権力者が並び立つことは許されなかった。父が後見を託した叔父を痕跡なきまで葬るという無慈悲な処分は、若い最高指導者にとって避けようもない選択だったのかもしれない。=敬称略

(龍谷大教授 李相哲)

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