産経ニュース

【秘録金正日(69)】「正恩、あいつだけは絶対ダメだ」デノミ失敗の責任転嫁され「親日・スパイ」嫌疑で処刑された経済ブレーンの無念

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【秘録金正日(69)】
「正恩、あいつだけは絶対ダメだ」デノミ失敗の責任転嫁され「親日・スパイ」嫌疑で処刑された経済ブレーンの無念

 実態を知りながら幹部は一様に口をつぐんでいた。朴は、正日の面前で婉曲(えんきょく)に軌道修正を提案するつもりでいた。「1989年の祝典(世界青年学生祝典)のとき、国を挙げた10万世帯(住宅)建設の後遺症はまだ治まっていない」と述べ、現実に切り込んだ。

 「しかも、そのときと状況は違う。設計通りなら財政支出が倍以上になるだろう。再び『苦難の行軍』を始めなければならないかもしれない」

「これまでよい生活、党には感謝する」

 静まり返る宴会場で、金正日が口を開いた。

 「平壌市10万世帯建設は、わが国100年の大計であり、重要な事業だ」

 特に朴南基が「苦難の行軍」という言葉を使ったことが逆鱗(げきりん)に触れた。数え切れない無辜(むこ)の国民を死なせた自身の“失政”を象徴するものだったからだ。

 「動揺分子とは一緒にやっていけない」

 怒り散らして、正日が席を立つと、朴は、正日の警護官らに引きずりだされ、調査を受ける身となる。2010年3月、計画財政部副部長だった金泰永(テヨン)らと処刑されたと伝えられる。

 党組織指導部第1副部長の李済剛が執筆したとみられる冊子「革命隊伍(たいご)の純潔性を強化されていく日々に」など内部資料で後に判明した罪状は、デノミの失敗ではなく、「スパイ罪」だった。

「ニュース」のランキング