産経ニュース

【秘録金正日(69)】「正恩、あいつだけは絶対ダメだ」デノミ失敗の責任転嫁され「親日・スパイ」嫌疑で処刑された経済ブレーンの無念

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【秘録金正日(69)】
「正恩、あいつだけは絶対ダメだ」デノミ失敗の責任転嫁され「親日・スパイ」嫌疑で処刑された経済ブレーンの無念

ごみと化した金日成の肖像付き紙幣

 通貨価値の変動に左右されず、国際的信用のある金を確保した上で、当局は2009年11月30日に旧貨幣100ウォンを新貨幣1ウォンに交換させる貨幣交換措置を発表する。

 現金交換は1世帯10万ウォンまでという上限も設けられた。それを超える旧貨幣をタンスに蓄えていても、紙くずとなり、新興富裕層にとっては大打撃となる。

 貨幣交換は12月7日に打ち切られる。大きな仕事を成し遂げた息子をたたえるため、金正日は、その年の暮れに中央本部党幹部らを集め、祝賀会を開いた。

 デノミの実施状況について説明に立った朴南基は「政府が引き続き財政健全性管理をできるか疑問だ」と意外な言葉を口にした。「財政の流れが初期の計画とは違う方向へ動いているという不安を拭えない。建設事業規模を縮小させてほしい」

 朴は、住民の不満が爆発寸前にあることを知っていた。金日成(イルソン)の肖像を印刷した紙幣をごみとして捨てる者や破産の末、自殺する者が続出していたのだ。

 「(秘密警察の)国家安全保衛部が、旧紙幣を返還しない者は処罰すると脅したけれど、応じる住民は少なかった」(金鉄柱)

 貨幣価値の急変で、物価はむしろ暴騰した。売り渋りも横行し、新貨幣換算で豚肉1キロ50ウォンほどだった値段が瞬く間に2千ウォンに跳ね上がった。コメ価格も30倍に急騰したため、闇市場でも売買がストップし、労働者への賃金支払いも中断するありさまだった。

「ニュース」のランキング