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【秘録金正日(69)】「正恩、あいつだけは絶対ダメだ」デノミ失敗の責任転嫁され「親日・スパイ」嫌疑で処刑された経済ブレーンの無念

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【秘録金正日(69)】
「正恩、あいつだけは絶対ダメだ」デノミ失敗の責任転嫁され「親日・スパイ」嫌疑で処刑された経済ブレーンの無念

 健康不安説を打ち消すため、金正日(キム・ジョンイル)は2009年に入ると、現地視察の回数を例年の倍に増やすが、誰が見ても重い病気を抱えていることが分かるほど憔悴(しょうすい)し切っていた。太鼓腹は気が抜けたようにへこみ、髪も大量に抜け落ちていた。

 先が長くないと悟ったのか、正日は、後継体制の基盤となる経済建設に力を傾ける。平壌に10万世帯分の住宅の新設を指示し、深刻な電力不足解消のため、北部、慈江道(チャガンド)の煕川(ヒチョン)水力発電所の完成を急いだ。

 秘密資金を管理する朝鮮労働党39号室から800万ドル(約8億9千万円)を捻出し、国境を接する中国・丹東市から3年期限で2千万ドルを借り入れ、1月に住宅建設の着工にこぎ着ける。後継者に指名したばかりの三男、金正恩(ジョンウン)に建設の指揮を執らせた。

秘蔵の金を買いあさり

 「金正恩は『150日戦闘』のスローガンを掲げ、人海戦術で工事をやろうとした」。11年に韓国に亡命した元北朝鮮高官の金鉄柱(チョルジュ)=仮名=は説明する。

 金正恩は、見栄えのする20~25階建て高層住宅の建設を提案。大学生も動員し、「速度戦」を展開するが、人力だけでは限界が目に見えていた。

 折あしく2000年代に入って最悪の食糧難にも陥っていた。国連世界食糧計画(WFP)は、08年度の北朝鮮の食糧生産量を約334万トンと推定。需要を賄うには、200万トン近くも不足していた。

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