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【岡田浩明の野党ウオッチ】
甘利バッシングさえもブーメランになってかえってきた民主党に未来はあるのか?
夏の参院選が刻々と迫る中、民主党は、政党支持率1割以下という超低空飛行を続けている。国会論戦の序盤に浮上した甘利明前経済再生担当相の「政治とカネ」をめぐる疑惑で「反転攻勢のチャンス」と色めき立ったが、世間には「政策論戦そっちのけで疑惑追及に血道を上げている」と映ったのか、支持率は逆に下落してしまった。何をやっても「ブーメラン」。甘利氏の電撃辞任により追及の気勢もそがれ、脱力感だけが残った感がある。
3日の衆院予算委員会。民主党の岡田克也代表は安倍晋三首相との直接対決で、甘利氏の金銭授受疑惑に切り込んだ。
「甘利氏はアベノミクスの司令塔、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の最終交渉もした。きちんと検証するべきだ」
「巨大な権限を持つ人が疑いをかけられていることに、首相は危機感を持つべきだ」
対する首相は「TPP交渉に影響するわけがない」と色をなして反論し、「影響を与えたというならば、具体的にどの品目に影響を与えたのかを言わないと、無責任な誹謗中傷だ」とまくしたてた。
「政治とカネ」をめぐる論戦はヒートアップしたが、岡田氏が約1時間の質疑時間のうち疑惑追及に費やしたのは、わずか10分ほど。疑惑解明も必要だが、追及一辺倒では世論が辟易しかねない-。こんな意識が働いたとみられる。
実際、民主党の追及姿勢について世論は評価していない。むしろ逆効果となった。甘利氏が閣僚辞任を表明した1月28日直後の報道各社の世論調査をみると、その傾向は一目瞭然。民主党の支持率は、共同通信9・5%(前回比0・2ポイント減)、読売新聞7・0%(前回比1・0ポイント減)、毎日新聞は横ばいとはいえ、わずか7・0%にすぎなかった。逆に内閣支持率は軒並み数ポイント増え、5割を回復した調査も少なくなかった。