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【秘録金正日(61)】韓国財閥たらし込み…創業者の「初恋」に付け入り生み出した“ドル箱”

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【秘録金正日(61)】
韓国財閥たらし込み…創業者の「初恋」に付け入り生み出した“ドル箱”

 破綻する経済や離れゆく民心、深まる国際的孤立…。八方ふさがりの金正日(キム・ジョンイル)に救いの手を差し伸べた韓国人企業家がいた。

 1998年6月16日、当時、韓国最大の財閥だった現代(ヒョンデ=ヒュンダイ)グループの名誉会長、鄭周永(チョン・ジュヨン)が、牛500頭を連れ、南北軍事境界線の板門店(パンムンジョム)を通って北朝鮮に入った。牛はトウモロコシ5万トンとともに北朝鮮に提供を約束していた1千頭の半数だ。

 現代自動車が牛の運搬用に改造したトラック50台に牛を載せ、陸路北を目指し、その模様は生中継で世界に伝えられた。2月に韓国大統領に就任した金大中(デジュン)は回顧録に記した。「牛500頭を積み、板門店を越える場面は一編の童話だった。彼(周永)は童話の中の牧童のようだった」

 牧歌的な牛の越境は94年の金日成(イルソン)死去後、冷え切っていた南北関係に融和ムードをもたらす。金大中政権が掲げ、後に「太陽政策」と呼ばれる対北包容政策のつゆ払いとして打って付けの演出となった。

くすねた1頭分が1千頭に

 鄭周永は15年、北朝鮮南東部の江原道(カンウォンド)通川(トンチョン)に生まれた。南北分断で故郷への往来を断たれた彼のような存在を、韓国では「失郷民」と呼ぶ。

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