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【無秩序化する世界・上】中国に奪われた海 フィリピン漁業関係者「全て変わった」

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【無秩序化する世界・上】
中国に奪われた海 フィリピン漁業関係者「全て変わった」

フィリピン・スービック沖の南シナ海海上で、漁港に引き返すフィリピン漁船。スカボロー礁周辺の漁場は、中国に奪われ、近づけなくなった(吉村英輝撮影)

 東西冷戦が終結し、ブッシュ米元大統領など当時の主要国の指導者たちは、大国間の対立から解き放たれた「新世界秩序」の到来を予測した。しかし、それから15年余。世界はポスト冷戦期の混乱を経て、想像を超えた「無秩序」の時代に突入した。中国の覇権拡大に揺れる東南アジアと、シリア内戦などで混迷を極める中東。「世界無秩序」の最前線は今、どうなっているのか。また、国際的影響力の低下が指摘される「唯一の超大国」米国は、今年の大統領選で誰を選び、世界をどのように導こうとするのだろうか。特派員が報告する。

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 大きくうねる海原を縫うようにトビウオが滑空していく。フィリピン・ルソン島北西沖の南シナ海。12月は北東の風でよく荒れるが、それでも「生活のため」と出漁する漁船は多い。外洋に出てしばらくすると、高波にたまりかねて漁港へ引き返す船とすれ違った。全長約20メートルの木造船の上で、十数人の精悍(せいかん)な男たちが、仕方なさそうに漁具を片付けていた。

 「中国が来てから、すべてが変わってしまった」

 小型船で海を案内してくれたアルタガメさん(65)が嘆いた。10歳からこの海で漁を始め、ザンバレス州スービックの漁業資源管理委員会トップとして十数年、約3千人の地元漁師を束ねてきた。

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