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【満州文化物語(12)】妊婦ら在留邦人270人はなぜ助かったのか? 「奇跡の脱出行」…関東軍部隊の決断と伝統

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【満州文化物語(12)】
妊婦ら在留邦人270人はなぜ助かったのか? 「奇跡の脱出行」…関東軍部隊の決断と伝統

第一大隊長の下道重幸大尉(「下道部隊戦友会誌」から) 第一大隊長の下道重幸大尉(「下道部隊戦友会誌」から)

居留民を置いていけない

 8月末、興●(=隆の生の上に一)の第1大隊を率いる下道重幸大尉(昭和53年、78歳で死去)は苦悩していた。本来、下道部隊が向かうべき連隊本部がある承徳(しょうとく)までは約80キロ。だが、数日来の豪雨で道路や通信手段が寸断され、合流したり、指示を仰ごうにも連絡がつかない。

 承徳にはすでにソ連軍が入ったという。偵察に出した兵は攻撃に遭い、負傷して戻ってきた。さらに、大きな問題があった。興●(=隆の生の上に一)にはまだ会社員や自営業者、公務員らと家族約270人の居留民が残っている。ここにもソ連軍が来るのは時間の問題であろう。

 「置いてはいけない」。下道はソ連侵攻後に連隊長が行った訓示を思い出していた。881部隊は関東軍のルーツである独立守備隊の魂を受け継ぐ部隊であり、本来の任務である「居留民保護に全力を尽くせ」という内容だった。

 日露戦争に勝利し、関東州(大連、旅順など)や東清鉄道の南部分(後の満鉄線)と鉄道や駅周辺の土地(鉄道付属地)の権利を獲得した日本は満州経営に乗り出す。

 そして、鉄道線と租借地に住む居留民(日本人)を守るために発足したのが関東軍の前身である。

 それは、関東軍固有の独立守備隊と内地から2年交代で来る駐●(=答にりっとう)(ちゅうさつ)師団で構成され、881部隊は第9独立守備隊(承徳)の系譜を引く。「関東軍発祥の精神を忘れるな」というのは、そういうことだ。

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