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【満州文化物語(10)】娘の首に刀を…「ごめんね、母さんもすぐに逝くからね」 ソ連軍に蹂躙された「葛根廟事件」

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【満州文化物語(10)】
娘の首に刀を…「ごめんね、母さんもすぐに逝くからね」 ソ連軍に蹂躙された「葛根廟事件」

今夏、葛根廟事件の現場を再訪した大島満吉さん(田上龍一氏撮影) 今夏、葛根廟事件の現場を再訪した大島満吉さん(田上龍一氏撮影)

 終戦時の在留邦人は約4000人(周辺地域を含む)。8月14日、このうち約1000人の民間人が興安の南東約40キロのラマ寺院、葛根廟(かっこんびょう)近くでソ連軍の戦車十数両に蹂躙(じゅうりん)されて虐殺。あるいは絶望しての自決によって亡くなった。助かったのはわずか百十数人。親を殺された30人あまりは残留孤児となった。「葛根廟事件」である。

 大島満吉(79)はそこで生き地獄を見た。何度「死」を覚悟したか分からない。当時、国民学校(小学校)4年生。両親と兄、弟、妹の6人家族で、興安街から徒歩で南へ向かって避難する途中だった。

 14日正午近く、真夏のギラギラとした陽ざしが照りつけていたのを覚えている。「戦車だっ!」。避難民の隊列の戦闘付近にいた満吉は、後方から叫び声を聞く。くもの子を散らすように逃げ出した避難民の後から、轟音(ごうおん)を響かせて追いかけてくるソ連軍の戦車群が見えた。

 「キャー、逃げろ!」。ドーン、ドカーン…日本人の悲鳴をかき消すように戦車砲が炸裂(さくれつ)する。地鳴りのようなキャタピラの音。ダダダっ…機銃や自動小銃の発射音が鳴り止まない。母らと一緒に近くの壕(ごう=自然にできた大きな亀裂)の中へ飛び込んだ満吉は銃を持った人影を見た。

 「日本兵が助けにきてくれたのかと思ったら、ソ連兵だったのです。私の背中のすぐ後ろで、日本人に向けていきなりダダダっと自動小銃を発射しました。ギャーという悲鳴、ブスブスっと銃弾が体に食い込む音…あっという間に30人ぐらいが殺されました」 

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