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【アメリカを読む】「我々は米国より寛大だ」 自信たっぷりのAIIB総裁 新興国のニーズ強調するが…

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【アメリカを読む】
「我々は米国より寛大だ」 自信たっぷりのAIIB総裁 新興国のニーズ強調するが…

中国の習近平国家主席(右)訪米時のホワイトハウスでの記念式典で、バラク・オバマ大統領(左)は終始、表情を崩さず、気まずい空間を創出してみせた=9月25日、ワシントン(AP)

 金氏は講演でAIIBは新興国主導の国際金融機関であると繰り返し、スリムな組織で迅速な意思決定を目指すとした。また石炭火力の問題についても「貧しい人たちが暗闇のなかで過ごしていることを座視するのか」と述べるなど、環境問題と新興国の生活向上のバランスをとることの重要性を指摘。「われわれが石炭火力を否定したとしても、それらの国には独自に石炭火力発電所を作る以外の選択肢は残されていない。これが新興国の現実だ」として、世銀やADBとは異なるアプローチをとる可能性を示唆した。

軍拡、人権には頬被り

 しかしこうして国際社会で新興国の立場を代弁し、人々の生活向上を訴える中国も、南シナ海での軍事的行動では周辺国の安全保障上の脅威となり、中国国内での言論統制や人権問題には頬被りを続けている。AIIBが目指すというスリムな組織が中国による恣意的な運営の土壌になる可能性も否定できない。

 習近平国家主席(62)は9月下旬の訪米の際のバラク・オバマ大統領(54)との共同記者会見で、「民主主義と人権は全人類が求めるものだが、同時に各国には歴史的な発展の段階や現実があることも認識せねばならない」と話した。オバマ氏は首脳会談で人権問題の重要性を訴えたが、習氏は聞き置くに留めたとみられる。

 米中間の価値観の相違が埋まらないにも関わらず、新興国や先進国の間で中国への期待が高まる事態はオバマ政権にとって避けるべき事態だ。オバマ政権はTPPの早期実現で中国の影響力拡大にブレーキをかけようとしているが、中国の自信に揺らぎはないようだ。(小雲規生 ワシントン支局)

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