記事詳細
【アメリカを読む】
「我々は米国より寛大だ」 自信たっぷりのAIIB総裁 新興国のニーズ強調するが…

オバマ氏は公式には中国にTPP参加を促しているが、TPPで現在の中国には参加できないほどの高い水準の自由貿易圏を築くことで中国を牽制する狙いも何度も明言している。金氏の発言はこうしたオバマ氏の戦略を一蹴し、国際社会のリーダーに上り詰める戦略の一端をのぞかせたものといえる。
年末に正式な発足が予定されているAIIBは57カ国が参加する見込みだが、オバマ政権は中国が主導権を握るAIIBが中国の影響力拡大のツールになる恐れがあるとして参加を見送った。しかし新興国がこぞってAIIB参加に動いたほか、英独仏伊や豪州、韓国なども相次いで参加を決め、米国は国際社会に影響力の低下をさらした。
講演で新興国の現実力説
AIIBが新興国から強い支持を受ける背景には、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など既存の国際金融機関に対する不満がある。鉄道や電力などのインフラ整備が遅れているアジア各国ではスピーディーな融資が求められるが、「官僚組織が肥大した世銀やADBは意思決定が遅く、新興国のニーズに応えられていない」との声は大きい。また世銀などは気候変動問題への配慮から、安価な発電が可能な石炭火力発電への融資を厳しく制限しており、新興国の間では使い勝手の悪さも問題視されている。