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【防衛最前線(44)】
護衛艦くらま 観艦式で安倍首相を乗せた旗艦が退役間近で大役を務めたわけは…
くらまは観閲艦としては「これ以上ない」(海自幹部)護衛艦といえる。観艦式は3年に1度開かれているが、その特性から第1次政権時の安倍首相も乗せるなど、ここ数回は観閲艦の大役を果たしてきた。
「しらね型」の2番艦であるくらまが完成したのは昭和56年。艦名は鞍馬山に由来する。前級の「はるな型」に次ぐヘリ搭載大型護衛艦で、海自初のシステム艦でもある。54口径5インチ単装速射砲、短SAMシースパロー装置、高性能20ミリ機関砲、アスロックランチャー、3連装短魚雷発射管などを備える。
乗員は350人で、基準排水量は5200トン。全長159メートル、幅17・5メートルで、最大速力は31ノット。
テロ対策特別措置法に基づく情報収集任務で平成13年11月にインド洋に派遣された実績を持つ。21年の観艦式の直後、関門海峡で韓国船籍の貨物船と衝突事故を起こして注目されたこともある。
同級の「しらね」はすでに退役し、くらまの現役生活も残り1年半ほどに迫っている。3年後に予定される次回の観艦式には参加できない。しらね型は「しらね」と「くらま」しかないため、海自は早くも次期観閲艦をどうするかで頭を悩ませている。
(政治部 石鍋圭)