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【安倍政権考】
内閣改造の目玉は「稲田朋美⇔甘利明」の入れ替え構想だった! 幻となったのはあの派閥の横やり…

第3次安倍改造内閣が10月7日、発足した。安倍晋三首相は今回の内閣改造・自民党役員人事で徹底した箝口令を敷いたが、その背景には、「犬猿の仲」として知られる自民党の稲田朋美政調会長と甘利明経済再生担当相をめぐるサプライズ人事構想の頓挫があったとされる。キーワードは「やっかみ」だ。
「閣内に入ってもらいたい」
安倍首相は秋の大型連休が明けた9月24日、党本部で開いた役員会後、稲田氏を党総裁室に呼び、こう告げた。首相は当初、稲田氏を経済産業相か文部科学相に起用する意向だった。
稲田氏は、平成24年の第2次安倍内閣で行政改革担当相として初入閣。首相は昨年9月、稲田氏に「帝王学」を授けるため、党政調会長に抜擢した。ただ、当選4回の若さの足元をみられてか、党内の意見調整に手間取る場面も散見された。首相は今回、新天地でさらに研鑽を積ませる道を模索したようだ。
そこで問題となるのは甘利氏だ。稲田氏とは6月、国の財政再建策の立案過程で鋭く対立。甘利氏が稲田氏を怒鳴っても、稲田氏は持論を曲げない場面もあった。稲田氏が経産相に就任すれば、経済成長戦略を立案する甘利氏と所管がかぶり、再び衝突しかねない。
首相周辺は「稲田氏の後任の政調会長候補の1人に甘利氏がいた」と語る。甘利氏はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)担当相も務めるが、9月30日から始まったTPP交渉参加12カ国による関係閣僚会合は、内閣改造までに大筋合意する見通しがあった。