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【秘録金正日(40)】世界最高級品調達工作 「日本人を拉致し完璧に変身せよ」

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【秘録金正日(40)】
世界最高級品調達工作 「日本人を拉致し完璧に変身せよ」

2009年3月、韓国・釜山で田口八重子の長男、飯塚耕一郎(手前)と初対面し、抱き合う金賢姫(早坂洋祐撮影) 2009年3月、韓国・釜山で田口八重子の長男、飯塚耕一郎(手前)と初対面し、抱き合う金賢姫(早坂洋祐撮影)

 「100号物資」と呼ぶ映画フィルムの調達も在外公館にいる工作員の大事な任務とされた。

消した文字浮かす試薬

 各種工作を展開するのに、西側当局からマークされる北朝鮮パスポートは「不便」この上なく、「障害」でさえあった。

 80年6月、宮崎市の海岸から中華料理店店員だった原敕晁(ただあき)を拉致した工作員の辛光洙(シン・グァンス)は、潜入先の韓国で85年に逮捕され、韓国の情報機関、国家安全企画部の取り調べに、拉致の目的は「日本人になりすますため」だったと供述する。

 安企部の捜査資料などによると、辛は、対南工作を指揮する「3号庁舎」に呼び付けられ、こう命じられたという。

 「日本人を拉致して北へ連れてこい。その人物の身上記録を完全に暗記し、完璧な日本人に変身した後、対南工作の任務を引き続き遂行せよ」

 その場で、暗号解読用の冊子2冊と、消した文字を浮かび上がらせる試薬一式、現金1万ドル(現在のレートで約120万円)を手渡された。辛に直接、指令を下したのは、金正日自身だったとの見方もある。

 70年代後半、南北朝鮮の体制競争は熾烈(しれつ)を極めていた。韓国では、経済発展に伴い民主化要求が高揚。学生デモが激しさを増すなか、戒厳令が敷かれ、政情は混沌(こんとん)としていた。

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