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【東京時間旅行】「ゾウの高子」 日本橋高島屋で飼育された平和の象徴

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【東京時間旅行】
「ゾウの高子」 日本橋高島屋で飼育された平和の象徴

高子の背中に乗って手を振る荒井静枝さん。後ろは飼育員の畔上吉五郎さん=東京都中央区の日本橋高島屋

 敗戦から立ち上がる占領下のわが国に続々と来日したアジアゾウの1頭。日本橋高島屋(東京都中央区)屋上で飼われていた「高子」の写真が14日まで同店で公開された。今年になって飼育員の遺族から写真が贈られ、来日65年を経て展示が実現。セピア色の印画紙から、ゾウが戦後日本にもたらしてくれた希望も浮かび上がってくるようだ。

 長い鼻を伸ばして、飼育員の太鼓を鳴らそうとする高子。向き合う飼育員の笑顔に人とゾウの信頼関係が伝わる。

 写真は高島屋で高子の飼育係だった畔上吉五郎さんの孫で、荒川区在住の吉雄さん(60)から1月に寄贈された。

 高子は昭和25年にタイから来日。銀座をパレードしながら日本橋までやってきたとの記録から、人々の興奮ぶりがうかがえる。

 当時隣町の京橋に住んでいた帽子作家の荒井静枝さん(66)は、「私は高子と同じ24年生まれで、背中に乗った記憶はおぼろげ。むしろ両親や祖父母が後々まで『利口だった』と話題にし続けていたことに存在の大きさを感じた。わが家のように空襲で焼け出されたり、戦争で家族を失った人々の大きな希望になっていたことは確かです」

 高子は29年に上野動物園に引き取られ、33年に開園した多摩動物公園に移動。荒井さんは仕事や子育てで忙しく、高子と再会できたのは平成に入ってからだ。 「屋上にいたときのように『高ちゃーん』と呼びかけ手をたたくと、1頭がゆっくりこちらに歩いてきて、柵から身を乗り出した。そして、鼻を振り上げたり、ウンウンうなずいたり、子供のころと同じ芸を見せてくれたんです」

 その直後の平成2年、高子は不運にも飼育場の堀に落ちて死んだ。荒井さんは高子が生きた記録を残したいと、3年前に文章と絵を自ら手がけた絵本「デパートのうえのたかちゃん」(致知出版社)を自費出版した。

 昨年、テレビ番組を通じて高子と絵本の存在を知った畔上さんは、祖父が残した写真の価値に気付いた。

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