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【安倍政権考】芥川龍之介「藪の中」を彷彿させる日朝交渉 「包括的調査」という曖昧合意で迷走は始まった…

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【安倍政権考】
芥川龍之介「藪の中」を彷彿させる日朝交渉 「包括的調査」という曖昧合意で迷走は始まった…

拉致被害者家族会メンバー(右側)に安倍晋三首相は「あらゆる手段を尽くす」と拉致問題解決の決意を伝えた=4月3日、首相官邸

 ただ、政府には合意が「藪の中」ぐらい曖昧なものでも、応じなければならない理由があった。

 「交渉窓口をこじ開けるのにどれだけ苦労したことか。これがダメになったら何年もかかる。そこが生命線だ」

 政府高官が昨年10月上旬、日本政府担当者の平壌派遣を決断した理由を苦渋の表情を浮かべ周辺に漏らした。北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使が昨年9月、特別調査委員会の初回報告を先送りした揚げ句、日本政府担当者の平壌派遣を突如、政府に打診。安倍晋三首相は成果が見込めない派遣の是非について決断を迫られ、結局、誘いに応じたのだった。

山谷担当相と官僚がバトル

 平壌派遣をめぐっては、拉致被害者家族会と山谷えり子拉致問題担当相が成果が得られないとして反対姿勢だったのに対し、官邸と外務省が前向きのまま膠着(こうちゃく)状態が続き、政府内で容認派と慎重派の軋轢(あつれき)を危惧する声が出た。

 10月下旬の派遣までに菅義偉官房長官、山谷氏、岸田文雄外相、党幹部らがひざを交えて激論を繰り広げた。ある政府施設で行われた会合では、家族会の意向を踏まえた山谷氏が平壌派遣に改めて難色を示すと、外務官僚の1人が「山谷大臣が決めることではない!」と語気を強める緊迫した場面もあった。拉致問題の担当閣僚に猛然と反論する官僚の姿に参加者らは思わず目を丸くしたほどだ。

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