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【アジアの目】
困窮「ロヒンギャ族」を戦闘資源“草刈り場”にするイスラム過激派 国際社会は無力

バングラデシュとミャンマーの両国にまたがる地域で、苦しい生活を強いられているイスラム教徒(ムスリム)のロヒンギャ族の人々を狙い、イスラム過激派が勢力拡大を図っている。ミャンマー政府に対応を迫るばかりで国際社会が手をこまねいている隙に過激派はロヒンギャ族の若者を戦闘員に仕立て上げ、アフガニスタンでの戦闘に参加させているという。
ミャンマーは認めず
ロヒンギャ族は、ミャンマー北西部のラカイン州を中心に居住するムスリムだが、ミャンマーはロヒンギャを国が指定する少数民族とは認めず、ベンガル系の不法移民と位置付ける。一方、バングラデシュもロヒンギャの仮定住キャンプはあるが政治難民とは認めず、ミャンマーからの流入を制限する。
ミャンマー、バングラデシュだけでなく、タイやマレーシア、インドネシアなどもロヒンギャ族を難民として受け入れることには消極的だ。
ミャンマーには昔から住んでいるムスリムも多いが、ロヒンギャ族に対してだけは政府が厳しい姿勢を取っても、国内にそれを非難する声は少ない。
1990年の総選挙ではロヒンギャ族も選挙権があり、彼らの多くはアウン・サン・スー・チー氏(69)率いる国民民主連盟(NLD)を支持した。しかし、民政移管後に国会議員になったアウン・サン・スー・チー氏は大多数の国民の声を気にしてか、ロヒンギャ族を支持するような発言はほとんどしなくなった。