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【総支局記者コラム】琵琶湖だけじゃない 実は「仏像の聖地」の滋賀

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【総支局記者コラム】
琵琶湖だけじゃない 実は「仏像の聖地」の滋賀

滋賀県教委が発行した「1冊でわかる滋賀の仏像」

 「『滋賀県』と聞いてイメージするものは」と尋ねられれば、たいていの人が「琵琶湖」と答える。自分自身、新人として赴任した3年前はそうだった。

 しかし、暮らしてみると、琵琶湖以外に魅力あふれるものがたくさんあることを知る。中でも心惹(ひ)かれたのが「文化財の多さ」。主要な街道が交わり湖上の水運もあって滋賀は歴史上、重要な役割を果たしてきた。

 安土城跡や彦根城などの城郭。天台宗の総本山・比叡山延暦寺や三井寺、多賀大社などの社寺…。滋賀は国宝を含む重要文化財の指定件数が東京、京都、奈良に次いで全国4位なのだ。

 そんな“実はスゴい”滋賀の県教委は今年1月、県内各地の仏像をまとめた書籍「1冊でわかる滋賀の仏像」(サンライズ出版)を発行した。県教委が長年続けてきた仏像調査の成果を集約した労作だ。

 「京都や奈良の本は、放っておいてもどこからか出版される。だが、滋賀の場合はそうはいかない」。多少自虐気味に語る県教委文化財保護課の井上優主幹だが、その表情からは自信もうかがえる。なにしろ、滋賀県は貴重な仏像の数が豊富で、独自の仏教美術文化が展開されている「仏像の聖地」。

 ただ、県内の仏像を網羅した手軽な一冊がなかっただけに、この本が格好の入門書になりそう。

 「如来」「菩薩」「明王」など仏像の種類ごとにていねいに解説。貴重なものでは、井上靖の小説「星と祭」で「仏像というより古代エジプトの女帝」と表現された向源寺(長浜市)の「十一面観音立像」(国宝)や、平安時代に流行した定朝様の特徴を示す洞照寺(高島市)の「阿弥陀如来坐像」(重文)など。一方、アフロヘアの阿弥陀如来や近年見つかった手のひらサイズの涅槃(ねはん)像など変わった仏像も多数紹介され、玄人も素人も楽しめる。

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