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【野口裕之の軍事情勢】「悪い自衛隊」が貢献したカンボジアの橋

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【野口裕之の軍事情勢】
「悪い自衛隊」が貢献したカンボジアの橋

軍と文民が平和の両輪

 ただし、一般国民は欺され難くなった。例えばイスラム教系暴力集団《イスラム国=ISIL》に邦人2人が斬首されると、安倍晋三政権の中東支援策やテロに屈しぬ毅然とした姿勢が原因だと騒ぎ立てた。果ては、集団的自衛権行使実現への閣議決定との因果関係まで追及したが、メディアが実施した世論調査はおおむね政府の対テロ姿勢を評価した。

 もっとも、ボランティア青年が殺された22年前にも「自衛隊派遣が殺害事件を引き起こした」式の批判に惑わされなかった国民はいた。青年の父君も然り。偏向メディアの誘導尋問に対し、子息の死を「崇高」と受け止め、悲しむべきは子息の死ではなく、殺害による海外ボランティアの減少だと決然と答えた。以後、32年にわたる貿易商社マンとしての生活に終止符を打ち、ボランティアの世界に踏み入る。

 こう記すと「戦争の手先=自衛隊」派遣は×で「ボランティア=平和の使者」派遣は○といった、前時代的反論をする向きがあるが全くの誤認識だ。UNTACが限界・失敗も残した旨前述したが、最たる例が軍事部門の武装解除・停戦監視だった。ところがその後、軍事部門の主任務は選挙に携わる文民要員護衛や投票者/投票用紙/投票所/集計所/政党・候補者の保護などに移る。紛争地において軍と文民が平和維持の両輪でなければ、今後もボランティア青年のような犠牲者が出る。

 安倍首相が強調する「積極的平和主義」への反対が「暴力を認める」ことと同義である国際の悲しい現実を、偏向メディアや左翼はいつになったら気付くのだろう。あるいは、気付いているのに…。(政治部専門委員 野口裕之)

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