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【話題の肝】出版不況の逆風でも「世界文学全集」40万部売り上げの驚異 「より深く考えるコンテンツを」編集と読者が一致、「全集」活況の興味深い背景

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【話題の肝】
出版不況の逆風でも「世界文学全集」40万部売り上げの驚異 「より深く考えるコンテンツを」編集と読者が一致、「全集」活況の興味深い背景

 編集者の小川一典さん(32)は「10年後に読んでも古びない全集にしたい」と話す。吉本の思索の跡を綿密に追いかけられる伝統的な編集手法で、完結まで7年かかる。社員数20人ほどの同社にとって、社運をかけた大事業となる。

 吉本全集を購入した福岡市東区の会社員、後藤光太郎さん(38)は「腰を据えて読み込むぞ、という読者側の気合に応じた全集だ。こういう偉大な仕事の応援は本を買うぐらいしかない」とエールを送る。

 晶文社の安藤聡(あきら)編集部長(54)は「世の中の動きが速くなり、全集の時代は終わったといわれる。だが、出版界には、読者に立ち止まってより深く考えさせるコンテンツも提供するバランス感覚が求められるのではないか」と話した。

 ■全集 代表的な作家らの小説や評論、詩などの名作を収録した「文学全集」と、個別の作家や思想家の作品を網羅的に集めた「個人全集」とに大別される。文学全集は、明治文学全集や児童文学全集などのように、特定のテーマで編まれたものも多い。個人全集では、「太宰治全集」(筑摩書房)や「小林秀雄全集」(新潮社)など人気作家の場合、新資料の発見や研究の進展などに応じて改訂が繰り返されることもある。

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