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【話題の肝】出版不況の逆風でも「世界文学全集」40万部売り上げの驚異 「より深く考えるコンテンツを」編集と読者が一致、「全集」活況の興味深い背景

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【話題の肝】
出版不況の逆風でも「世界文学全集」40万部売り上げの驚異 「より深く考えるコンテンツを」編集と読者が一致、「全集」活況の興味深い背景

 インターネットの普及で「活字離れ」の傾向が続く中、ここ数年、書店の棚に平積みされた文学全集や個人全集を目にする機会が増えている。この出版不況の折に、なぜ重厚な書物を世に出すのか。現場を取材すると、「読者により深く考えさせるコンテンツを」という編集者側の意識と、それに応えようとする読者側の反応が見えてきた。かつては「読まずに飾る」と揶揄(やゆ)された全集をめぐる変化は、日本の出版界復活の兆しでもあるのだろうか。(玉崎栄次)

「世界文学全集」は異例の40万部売り上げ

 河出書房新社は昨年11月から「日本文学全集」(全30巻)の刊行を開始。晶文社は「吉本隆明全集」(全38巻)を刊行中だ。文芸春秋は昨年9月に「丸谷才一全集」(全12巻)を完結し、中央公論新社からは「谷崎潤一郎全集」(全26巻)の刊行が今年5月に没後50年を機に始まる。

 出版物の統計調査などを行う「出版科学研究所」(東京都新宿区)によると、平成2~14年にかけて3巻立て以上の全集本の刊行数は年間50点前後だった。その後、活字離れの影響などを受けて23年には18点まで落ち込んだが、24年には23点、25年には35点と近年再び増えつつある。

 23年に完結した河出書房新社の「世界文学全集」(全30巻)は近年の全集本として異例の計40万部を売り上げた。続く日本文学全集は、文芸単行本の初版部数が4千~5千部という例が多い中、第1回配本の「古事記」は初版2万5千部、2月初旬までに版を重ね5万部が売れた。

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