産経ニュース

【日本スプリントの挑戦】(20)飯塚翔太の献身とマイルチームの“リベンジ”

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【日本スプリントの挑戦】
(20)飯塚翔太の献身とマイルチームの“リベンジ”

仁川アジア大会・男子1600メートルリレーで16年ぶりの金メダルに輝き、喜ぶ(左から)加藤、飯塚、藤光、金丸=2014年10月2日、仁川(桐山弘太撮影)

 韓国・仁川市内のアジア大会選手村。入り口にほど近い広場に日本短距離陣は集まっていた。10月2日午前9時すぎ。夜には400メートルリレー(4継)と1600メートルリレー(マイル)のそれぞれの決勝を控えている。

 今回、マイルの出場4選手はコーチ陣が決めたが、走順は選手に委ねられていた。「自分たちの役割を感じ取って走ってもらいたい」(伊東浩司短距離部長)との思いが込められた異例の手法だった。

 そして、オーダー決定の中心となった金丸祐三(大塚製薬)が、選手の輪の中で発表を始めた。

 1走・金丸、2走、藤光-。

 「3走、岸本…」

 400メートル障害代表の岸本鷹幸の体がぴくっと動くのが飯塚翔太(ミズノ)の目に入った。アンカーは加藤修也(早大)で確定している。自分の出番はないのか。そう思った瞬間、言葉が続いた。

 「…じゃなくて飯塚」

 事前に出場が決まっていた4継は午後7時45分から、マイルは同8時20分から。間隔はわずか35分。2つのレースに気持ちをぶつける覚悟を静かに固めた。

 ■朝原氏に似た飯塚の泰然ぶり

 今大会、短距離のメンバーは8人しかいない。しかも大会に入ってから高瀬慧(富士通)、山県亮太(慶大)が故障。この状況下、両リレーで最善を尽くすために、日本が打ったスクランブルの一手が「飯塚の兼務」だった。

 勝負の決勝でメダルを、それも時間差のない両リレーとも金メダルを狙うには「4継の3走・高平慎士(富士通)」と、「若い選手の掛け持ち」が必須と判断された。

 コーチ陣によると、兼務の候補は4継に出る飯塚と山県だったという。2人とも日本学生対校などでマイルを走ったことがある。

 「飯塚が『あ、僕やります』って。あいつのあっけらかんとした性格、朝原(宣治)さんっぽい所があるんだけど、そこが良い方向に転がった」と土江寛裕短距離副部長は語る。

「ニュース」のランキング