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【日本スプリントの挑戦】(18)山県亮太が失意の夜に考えたこと

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【日本スプリントの挑戦】
(18)山県亮太が失意の夜に考えたこと

アジア大会男子100メートル決勝で、山県(左)は10秒26の6位に終わった(桐山弘太撮影)

 韓国・仁川アジア大会陸上男子100メートル決勝、ミックスゾーンは報道陣でごった返していた。人数が多いのは日本の記者。中国のメディアも目立つ。

 銅メダルを獲得し、言葉を弾ませる高瀬慧(富士通)。少し距離を置いて山県亮太(慶大)は硬い表情で記者に囲まれていた。

 スタートして、すぐに置いていかれた。ピストルへの反応時間は0秒219。出場8人中、最も悪い。鋭いスタートを持ち味とする22歳は、明らかに出遅れた。

 「力がなかった」と切り出し、言い訳を拒んだが、実際のところでは左の股関節を痛めていた。

 「勝負するレースができなかった。ただ、悔しい」。結果は10秒26(追い風0.4メートル)の6位だった。

 ■蘇った切り返しの鋭さ

 予選では好感触を得ていた。左右の脚の切り返しにキレがあったからだ。

 「自然に回転が速かった。しばらく忘れていた感覚ですね。ロンドン五輪では無意識でできている感じで、2013年はできなくなっていた」

 本人いわく、この感覚がない時は左右の足を接地する軌道を考え、体の重心もぶれがちだ。しかし、アジア大会では重心を中心に据えたまま、右足を接地した瞬間には、もう左足に意識がある境地にあったという。

 これは夏場から取り入れたロングスプリントの練習の確かな成果だった。「無駄のない走り」を追求する中、北海道千歳市で行われた8月の代表合宿で、ようやくきっかけを手にしていた。

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