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【神奈川のノーベル賞候補 新春インタビュー(2)】藤嶋昭さん 「光触媒」の応用技術、身近に広く 東京理科大学長

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【神奈川のノーベル賞候補 新春インタビュー(2)】
藤嶋昭さん 「光触媒」の応用技術、身近に広く 東京理科大学長

東京理科大の藤嶋昭学長

 ■伝染病撲滅にも

 現在ではノーベル化学賞の有力候補といわれる光触媒の発見だったが、当時は光をエネルギーとしてとらえる見方が定着しておらず、「何かの間違いではないか」などと学会の反応は厳しかった。

 「どうして分かってくれないのか」

 悔しい思いもしたが、47年には論文が英科学誌「ネイチャー」に掲載されるなど、徐々に理解を得ていった。

 光を当てると有機物を分解する酸化チタンは、病院の医療機器や手術室の内装などに塗布すれば院内感染の防止につながる。水滴によるガラスの曇りも防げるため、車のサイドミラーや風呂場の鏡にも使われるなど、今では私たちの暮らしで欠かせなくなった。

 東京理科大の学長職で多忙な現在も、旺盛な研究意欲は衰えない。近年目指していることの一つは、光触媒による伝染病の撲滅だ。「人間が吐く息と似た炭酸ガスを光触媒で発生させれば、マラリアやデング熱などを媒介する蚊をおびき寄せて駆除できる」と力説する藤嶋さん。蚊に関する専門書を読みあさり、昨年11月には装置の試作品を完成させた。

 ■盛況の出前授業

 幼稚園から老人会まで幅広い年齢層を相手にした出前授業にも力を入れている。全国を飛び回り、出張は年100回にも上る。「空はなぜ青いのか」といった身近な疑問を簡単な実験で解明しながら、科学の魅力を伝え続けている。

 県内でも年間数十回教えており、中でも横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校(鶴見区)で毎年4月に行われる講演会は、質問する生徒が殺到。1人ずつ丁寧に回答しているため、“授業延長”が恒例となっている。

 「これまでの研究生活はあっという間。光触媒を通じて快適な空間を作ることに貢献できて本当に良かった」と話す藤嶋さん。「科学技術がなければ資源に乏しい日本は行き詰まる。たくさん勉強しよう」と、未来の科学者たちに熱い期待を寄せている。

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