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【神奈川のノーベル賞候補 新春インタビュー(2)】藤嶋昭さん 「光触媒」の応用技術、身近に広く 東京理科大学長

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【神奈川のノーベル賞候補 新春インタビュー(2)】
藤嶋昭さん 「光触媒」の応用技術、身近に広く 東京理科大学長

東京理科大の藤嶋昭学長

 抗菌や汚れ防止をはじめとして、その効果が幅広く利用されている「光触媒」。昨年開催されたサッカーのワールドカップブラジル大会のスタジアムの屋根から家庭用トイレまで、用途は生活のさまざまな場面に及んでいる。東大大学院生だった昭和42(1967)年、酸化チタンに光を当てると化学反応が促進されることを発見し、光触媒の世界を切り開いたのが、東京理科大の藤嶋昭学長(72)だ。

 横浜国立大出身で川崎市内に住み、長年にわたって県内の科学技術や産業振興を推進する「神奈川科学技術アカデミー」(川崎市高津区)の運営にも深く関わってきた。後継者の育成にも熱心で、学長職の傍ら、出前授業で県内だけでなく全国を飛び回り、科学の魅力を伝えている。

 ■わき出る酸素

 「この泡は何だろう?」

 東大大学院の修士課程で本多健一助教授(当時)の下にいた藤嶋さんが、勢いよく発生している気体に気付いたのは、水の中に酸化チタンと白金を入れて光(紫外線)を当てる実験中のことだった。採取した気体を分析してみると、水が分解されて発生した酸素と判明。「本多-藤嶋効果」と呼ばれる現象が発見された瞬間だった。

 当時について藤嶋さんは「酸化チタンの表面はいつまでも変化せず、純粋に酸素が出ていることに驚くとともに感動的でもあった」と振り返る。

 ある化学反応を促進し、自らは変化しない物質のことを「触媒」と呼ぶ。実験では、光のエネルギーを受け取った酸化チタンが触媒として機能し、水の分解を促進していた。そのため、この場合は酸化チタンが「光触媒」となる。

 この働きは、植物の光合成に似ている。葉の中にある葉緑素が光を受けると、二酸化炭素と水から酸素とでんぷんを作り出す現象だが、この場合、酸化チタンは葉緑素に相当する。

 研究が進むにつれ、酸化チタンが光を吸収すると強い酸化力が引き起こされて分解を促していたことが判明。水だけでなく、さまざまな種類の有機物を分解できることも分かった。

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