産経ニュース

【プロ野球通信】アメ車も売った、プライドも捨てた。何もかもかなぐり捨ててまで投げたい 元最多勝投手、藤井秀悟の悲哀

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【プロ野球通信】
アメ車も売った、プライドも捨てた。何もかもかなぐり捨ててまで投げたい 元最多勝投手、藤井秀悟の悲哀

合同トライアウトで投げる藤井秀悟。残念ながら、今季限りでの現役引退を表明した=11月20日(中鉢久美子撮影)

 寒風が吹きすさぶマウンドに、今季限りでDeNAを解雇された藤井秀悟投手(37)がいた。名前がコールされると、ほかの誰より声援が飛んだ。最速133キロ。直球とチェンジアップで2つの三振を奪って、アピールの場を終えた。

 「悪い前例を作っちゃいましたね。最多勝投手が(トライアウトを)2度も受けるなんて」

 投げ終わると自嘲気味に笑った。

 プロ野球で戦力外通告を受けた男たちが、再起を願って挑んだ今年の第2回トライアウトが11月20日、川崎市のジャイアンツ球場で行われた。参加者は投手12人、野手8人。第1回(11月9日、静岡)の59人と比べれば約1/3。シート打撃方式だが、守備は巨人のスタッフが就くなど、その光景はあまりに寂しい。

 1回目のトライアウトでは前オリックスの東野がDeNA、八木も中日に拾われた。一般的には戦力外となっても移籍先が見つかりそうな選手はトライアウトに参加しないし、2回目で引っかかるのはほぼ絶望的といわれる。今回の視察者の中にGMクラスの幹部は皆無。編成部員らの数も20人に満たなかった。

 藤井はヤクルト入団2年目の2001年に14勝を挙げ最多勝。その後、日本ハム、巨人、DeNAと渡り歩き、15年で通算83勝を記録した。そんな左腕が2度もトライアウトを受けるという事実だけでも、きわめて珍しい。

 自身は「プライドなんてないです」と話したが、2度目を受けるにあたり悩んだという。「もう諦めなきゃいけないかなと思ったけど、まだチャンスがある限り受けるべきだろうと」と揺れ動いた心情を吐露。何が心の支えか-と問われると思わず涙があふれ、言葉を詰まらせながら「まだ純粋に野球がやりたい気持ちですかね…」と絞り出した。

このニュースの写真

  • アメ車も売った、プライドも捨てた。何もかもかなぐり捨ててまで投げたい 元最多勝投手、藤井秀悟の悲哀

「ニュース」のランキング