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【栃木の議論】「北斎」足利滞在の「新証拠」か スケッチ画に酷似の「浄因寺」写真を発見

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【栃木の議論】
「北斎」足利滞在の「新証拠」か スケッチ画に酷似の「浄因寺」写真を発見

焼失前の「清心亭」の写真。大掛かりな「懸造り」で建てられている(中島太郎さん提供)

 江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎が画題にした古刹(こさつ)、行道山浄因寺(じょういんじ)(栃木県足利市月谷町)が明治時代に焼失する前の貴重な写真が地元の檀家(だんか)宅で確認され、岩山に立つ「清心亭(せいしんてい)」などが「北斎漫画」のスケッチ画と酷似していることが分かった。北斎の足利滞在を裏付ける重要な資料になりそうだ。(川岸等)

 確認された写真は4枚。約35年前、当時の住職が原画を焼き増しし、檀家役員らに配ったとされる。同寺は明治19(1886)4月の大火でほとんどの建物を焼失したが、写真には本堂、多宝塔などが写っている。

 1枚は焼失前の「清心亭」で、京都・清水寺に代表されるように岩の斜面に何本もの柱を立てる「懸造(かけづく)り」になっている。一方、北斎は「北斎漫画」7編=文化14(1817)年発行=に「下野行道山」を収め、右下の清心亭も同様に「懸造り」の姿を描いている。現在の建物は大正時代に再建後、平成5年に改修され、今回の写真の姿とは異なっている。

 北斎は同寺を題材に北斎漫画のほか、錦絵「諸国名橋奇覧」(全11図)の中で「足利行道山くものかけはし」、また、曲亭馬琴の読本「椿説(ちんせつ)弓張月(ゆみはりづき)」の挿絵に大岩山(同市大岩町)をそれぞれ描き、足利との関わりが指摘されている。

 北斎の足利滞在については証拠がなく、疑問視する専門家も多い。同寺を題材にした作品も他人の絵画や伝聞情報を基に画いたとする説もあるが、今回確認された写真からは、実際に北斎が風景を目にして描いたとする説が有力となりそうだ。

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