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【総支局記者コラム】岩手・住田町に「森林・林業日本一」への期待担う木造シンボル庁舎 盛岡支局長・石田征広

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【総支局記者コラム】
岩手・住田町に「森林・林業日本一」への期待担う木造シンボル庁舎 盛岡支局長・石田征広

美しい外観に誘われてドライバーがトイレ休憩に利用することも多いという人気の庁舎=岩手県住田町

 岩手県南部の住田町に9月、2階建ての美しい木造庁舎がお目見えした。レンズの断面を思わせる流麗な屋根と角材を格子状に組み上げた壁面が印象的な町民自慢の新庁舎だ。

 業務開始に先立つ見学会に6千人の町民の1割を超える800人が詰めかけた。「来ても300人ぐらいと思っていたので、驚きました」と話すのは菅野享一総務課庁舎建設室長補佐。

 町の9割が森林の住田町は林業から製材業、高次加工で集成材をつくる協同組合、住宅建設の第三セクターまである。新庁舎は町が目指す「森林・林業日本一」のシンボルとして注目の的になった。

 建設費約12億5千万円、延べ床面積2883平方メートルの全国でも珍しい木造庁舎をパンフレット片手に見て回った町民からは「木の良い香りがした」「明るくてぬくもりがある」と好印象が相次いだ。

 美しいだけでなく、震度7以上の地震にも耐える強靭(きょうじん)さを兼ね備え、東日本大震災を教訓に数々の工夫が凝らされるなど、随所に使う側に立った配慮がされている。

 それを実現したのは町内産のスギとカラマツを高次加工して強度を増した集成材だった。

 建物の骨格となる柱には弾力のあるスギ、梁(はり)には堅い材質のカラマツの集成材が使われた。流麗な屋根の形状は、頑丈なレンズ型木造トラス梁(長さ29・2メートル)を採用し、49本の梁を1・8メートル間隔で連続して架ける構造で強靭さを追求した結果だった。

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