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【「昭和」の青春】第4話 ギターを弾いてもモテないガテン系、口ずさむのほ「ウイスキーが、お好きでしょ」

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【「昭和」の青春】
第4話 ギターを弾いてもモテないガテン系、口ずさむのほ「ウイスキーが、お好きでしょ」

「フォーク酒場昭和」に備えられているギター。ギブソンのハミングバードなど名器がそろっている

山田の場合

 フォーク酒場昭和の開店は午後6時、ステージは7時からとなっている。その日6時半に店に入ると、50代から60代の面々が楽しそうに音合わせをしていた。早く店に入れば、多少の練習は可能なのだ。白いポロシャツでがっしりとした体を包み、髪形はソフトな角刈りの男がリーダー格らしい。自らフォークギターを手に、エレキギター、ベース、ドラムスの男たちの音合わせに耳を傾けている。この3人はいずれも細身でワイシャツにネクタイといういでたち。果たしてどういう関係なのだろう。

 練習を終えてボトルキープしていたウイスキーを飲み始めた角刈りの男に話を聞いた。

 「バンド名は山田工務店といいます。私の風体がこうでしょう。ガテン系に見られるんで、どうせならそんな名前にしてしまえと。年齢ですか? 61歳」。穏やかな笑みを浮かべながら山田が説明する。他の3人はステージで演奏する曲の相談に没頭して、取材の対応は「親方」に任せきりにしている。

 --それじゃ、工務店で一緒に働いているメンバーというわけじゃないんですね

 「そう。学生時代と取引先の仲間」

 --実際の仕事は何を

 山田は設計図でも描くようなしぐさをした。工務店というのも、まったく無関係な名前ではないようだ。職場は千葉市にあり、月に2回程度、バンドメンバーとともに襲来し、5-6曲演奏しているという。

 ステージの時間になった。トップバッターは山田工務店の面々である。ドラムスとベースが控えめにリズムを刻み、エレキギターがメロウなイントロを奏でる。そこに山田が思い入れたっぷりに「ウイスキーが」と歌い出す。サントリーのCMでおそらく何百回、いや何千回と耳にしている《ウイスキーが、お好きでしょ》(90年、田口俊作詞、杉真理作曲)である。

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