巨大な砥部焼「五輪聖火台」と映画『未来へのかたち』 - 産経ニュース

巨大な砥部焼「五輪聖火台」と映画『未来へのかたち』

「未来へのかたち」予告編の1シーン(C)2021「未来へのかたち」製作委員会
「未来へのかたち」予告編の1シーン(C)2021「未来へのかたち」製作委員会
「未来へのかたち」予告編の1シーン(C)2021「未来へのかたち」製作委員会
「今だからこそ見てもらいたい映画になっている」と語る大森研一監督=4月26日、愛媛県砥部町
 5月7日封切りの映画「未来へのかたち」。愛媛県砥部(とべ)町の伝統工芸品「砥部焼」を題材に、ばらばらになっていた窯元の家族が巨大な五輪聖火台作りの挑戦を通じて再生する姿を描く感動の物語だ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で公開が1年延期された後のリスタートだが、いまだコロナ禍は衰えを知らない。大森研一監督(45)は「今だからこそ見てほしい映画」と熱い思いを語る。
 実力派俳優が顔をそろえる
 砥部焼で五輪聖火台を作ろうというコンペを若手陶芸家の高橋竜青(伊藤淳史さん)が制したものの、それは娘がこっそり応募したもので、このデザインを実現させるためには絶縁していた父の協力が必要となるのだが-(公式サイトから)。映画は焼き物の里、砥部町を舞台に、考え方の違いなどでばらばらになっていた窯元の一家がぶつかり合いながら五輪聖火台を作り上げるストーリー。主人公・竜青の妻役に内山理名さん、母役に大塚寧々さん、兄役に吉岡秀隆さん、父役を橋爪功さんが演じている。
 撮影は2年前の秋、砥部町の全面バックアップを受けて約2週間で集中して実施した。大森監督は「この期間では焼き物で聖火台を作ることはとてもできないだろう。張りぼてのようなもので、と考えていた」と打ち明ける。
 しかし、地元はロケの半年以上前から映画製作に燃えていた。実行委員会を結成して努力を重ね、本当に砥部焼で聖火台を作り上げた。完成した聖火台は、台座からの高さ約4メートル、直径約1メートル。通常ならとても考えられない大きさだ。
 映画で主人公の家として使われた窯元「きよし窯」の山田ひろみさん(63)によると、平成7年に「八瑞窯(はちずいがま)」の白潟八洲彦(しらかた・やすひこ)さん(81)が、国連欧州本部(ジュネーブ)に贈った砥部焼の巨大モニュメントを制作しており、技術と道具が備わっていたことが原動力となった。
 「夜になると白潟さんのところに集まって。合宿みたいでした。町での撮影時期が最後の工程と重なり、タイミングもよかった」と山田さん。撮影期間中は町内で食事班や役者の送迎班などを作り、地元をあげて映画作りを支えた。かかわった町民の数は数百人に及んだという。
 「今だからこそ見てほしい」
 大森監督は砥部町が生まれ故郷。平成29年に町民ミュージカル「シンパシー・ライジング~砥部焼物語~」の舞台脚本を手掛けたが、「砥部焼のことは知っているつもりだったが、実はそんなに知らないことも分かった」(大森監督)。
 5月7日に全国50館で封切り予定だが、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県は3度目の緊急事態宣言の期間中と重なった。大森監督は「役者も集まって舞台あいさつなどもしたかったが、できない」と残念がる。
 ただ、「こういう今だからこそ、見てもらいたい映画」と強調。「愛媛は5館で公開するので、まずは地元から盛り上げていけたら。これだけのキャストが集まり、砥部町でオールロケをし、地元と一緒になって作り上げた映画。盛り上げられる条件は整っている」と期待を込めている。