【ビジネス解読】コロナ禍で強まる中国一人勝ち 経済規模、2025年には米国の9割  - 産経ニュース

【ビジネス解読】コロナ禍で強まる中国一人勝ち 経済規模、2025年には米国の9割 

上海で開かれた大型見本市「中国国際輸入博覧会」の会場に展示された米国企業製のトラクター。各国企業にとって中国市場は欠かせない存在だ=11月5日(AP)
 新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済を減速させる中、中国の一人勝ちの様相が強まっている。国際通貨基金(IMF)の見通しによると、2020年の中国の実質国内総生産(GDP)は前年比1・9%増で、主要国・地域の中で唯一のプラス成長。25年には中国の経済規模が米国の9割に達するとみられ、企業活動の観点では中国市場の存在感は無視できなくなる一方だ。ただし独自の強国路線をとる中国への依存は経済活動の不安定化につながりかねず、米国を中心とした各国経済の立て直しが不可欠だ。
 「中国のプラス成長への復帰は予想よりも力強く、7~9月期はさらに加速する兆しがある」
 IMFのギータ・ゴピナート調査局長は10月発表の世界経済見通しで、中国経済のコロナ禍からの復活を高く評価した。
 IMFの見通しによると、世界経済の20年の実質成長率はマイナス4・4%。世界最大の経済規模を誇る米国がマイナス4・3%に沈むほか、欧州連合(EU)もマイナス7・6%に落ち込む。感染拡大が比較的緩やかな日本もマイナス5・3%と振るわない。
 一方の中国は20年にプラス成長を維持した後、21年も8・2%という高い成長率をたたき出すとみられている。コロナ禍拡大の中心地として世界で最初に経済活動への悪影響を受けたものの、4月初旬には正常化に動き出し、その後も輸出の好調さが続いていることが安定的な経済成長につながっているからだ。
 中国一人勝ちの帰結は、世界経済における中国経済の存在感のさらなる拡大だ。IMFのデータによると、20年の中国の名目GDPが世界全体に占める割合は17・7%となる見通し。それが5年後の25年には20・3%にまで拡大する。このときの中国の名目GDP規模は米国の89・3%という大きさに達する。
 人民日報(電子版)によると、北京大学新構造主義経済学研究院の林毅夫院長(元世界銀行チーフエコノミスト)は10月のイベントで、「中国のGDPは30年まで毎年8%成長する潜在力がある」と述べた。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)によると、林氏は8月、中国の経済規模が30年までに米国を抜いて世界最大になると予測したという。
 こうした中、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は今月6日、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)や飲料大手コカ・コーラなど、多くの米国企業が中国市場への依存を高めていると報じた。
 中国にとって世界が中国経済への依存を強めることには戦略的な意味がある。習近平国家主席は今月上旬、上海で開かれた大型見本市「中国国際輸入博覧会」の開幕前のビデオ演説で、「(中国は)世界で最も潜在力がある大きな市場だ」と誇った。
 しかし中国経済は知的財産権保護の不十分さや、企業活動への不透明な介入など、企業にとっての問題を多く抱えている。中国経済への過度な依存は企業活動のリスクだ。
 米大統領選では民主党のバイデン前副大統領が勝利を確実にしたが、今後もトランプ政権下と同様の対中強硬姿勢は続くとの見方が多い。米国による中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置が続けば、華為に半導体などを輸出する企業にとっては逆風となる。
 また、中国経済への依存が行き過ぎれば、企業が中国政府の意向に逆らえなくなるおそれもある。
 中国による香港への統制強化を目的とした香港国家安全維持法(国安法)をめぐっては、今年6月、傘下に香港上海銀行を持つ英金融大手HSBCホールディングスの幹部が施行前の国安法案への支持を表明したと報じられ、国際的な批判を浴びた。HSBCには香港政府から支持表明を迫る圧力があったという。
 中国経済の成長を象徴する電子商取引最大手のアリババ集団でさえ、中国政府からの圧力と無縁ではないようだ。アリババ傘下の電子決済サービス企業の上場計画が突如延期された背景には、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が金融当局を批判したことがあったとされる。
 中国依存リスクの排除のためには、米国が再び世界経済の牽引役としての役割を果たすことが重要だ。日本や欧州も米国と経済面で共同歩調をとりながら、成長を取り戻すための政策を打ち出していくことの重要性が高まっている。(経済本部 小雲規生)