NGT48民事裁判が和解 “真実”解明 早期再開は… 新潟 - 産経ニュース

NGT48民事裁判が和解 “真実”解明 早期再開は… 新潟

和解成立後、取材に応じるAKS(現ヴァーナロッサム)側代理人の遠藤和宏弁護士=8日、新潟地裁(池田証志撮影)
 新潟を拠点に活動するアイドルグループ「NGT48」の元メンバー、山口真帆さん(24)への暴行問題をめぐり、NGTを運営していたAKS(東京、現ヴァーナロッサム)が、暴行容疑で逮捕された男性ファン2人=不起訴=に3000万円の損害賠償を支払うよう求めた裁判は新潟地裁で和解が成立した。男性2人が他のメンバーの関与を否定したことで、AKSは訴訟の真の目的だった「真実の解明」で一定の成果を得た格好だ。ファンの間では山口さん不在の法廷に不満の声もある一方、早期の本格的な活動を望む声が根強くある。(池田証志)
「潔白が証明された」
 「他のメンバーの身の潔白が証明された。被告らからも謝罪してもらい、真実に向けて前進できたと思っている」。和解が成立した8日、AKSの代理人弁護士を務める遠藤和宏氏は裁判をこう振り返った。
 山口さんがSNS(会員制交流サイト)で自身が暴行被害にあったことを“告発”したのは昨年1月。暴行問題に他のメンバーが関与していたと示唆したことから、この点がファンらの最大の関心事となった。
 山口さんは、男性2人のうちの1人が逮捕間際にメンバーの名前を口にしたことを根拠にしていたが、2人は裁判で「事件に関与したメンバーの名前を挙げたものではない」と主張した。
山口さん出廷せず
 AKSが設置した第三者委員会の調査に応じなかった男性2人から陳述書を得られたのは「前進」だが、和解条項に記載されているのはあくまでも原告と被告が合意した内容だ。裁判所が「真実」として認定したものではない。裁判所が認定したのは両者が合意したという事実だ。
 不祥事対応に詳しい小林英明弁護士は「実体的真実を認定する刑事裁判と違い、民事裁判で裁判所は原告と被告が出した証拠をもとに判断するので、規範力(効力)は当事者にしかない」と指摘。その上で「原告と被告で双方が利益を得るために訴訟を起こすことがあるため、利害関係のある第三者が参加する『訴訟参加』という制度がある」と説明する。
 裁判で、AKSは山口さんに出廷を打診しなかった。被害にあった山口さんに公の場で暴行被害について話すよう求めたり、訴訟参加制度を利用したりするのは現実的ではないが、山口さんが新たに主張する場がなかったのも事実だ。
 「山口さんの証人尋問がなく、陳述書も出なかった時点で、いろいろな疑惑が払拭されるとは思えなくなった」。和解の知らせを聞いた東北地方の50代男性ファンは肩をすくめた。
 前回の弁論準備手続では、男性2人の証人尋問も申請されたが、原告と被告の主張と立証が出尽くしていることや、裁判が長引くことによるメンバーへの負担などから和解を急いだ。遠藤氏も「証人尋問して判決というわけにはいかなかった。その意味で申し訳ない」と反省の弁を述べた。
「再起も可能」
 裁判は、AKSが昨年4月に提訴。「暴行事件でNGT48の芸能活動が休止した」と主張するAKSに対し、男性2人は「暴行はなかった」などと争う構えをみせた。争点は、男性2人側による暴行の有無や他のメンバーの関与をうかがわせた発言の真意、NGT48の活動休止との因果関係などだった。
 和解条項には、男性2人に対し、AKSに謝罪文を提出する▽損害賠償金数百万円を支払う▽NGT48を含むAKB48グループの名誉やイメージを毀損(きそん)しない▽同グループのすべてのイベントへの“出入り禁止”-が盛り込まれた。遠藤氏は「勝訴的和解」と位置付けた。
 男性2人が提出したA4用紙1枚の謝罪文には、少なくとも山口さんと自宅マンションのドアを引っ張り合う形での暴行があったことや、他のメンバーが暴行に関与していなかったことが明記され、NGT48の運営に支障をきたしたことを陳謝する内容という。
 和解後、遠藤氏は「ドアを引っ張り合うだけでも(山口さんの)身体に向けられた有形力の行使として法律上は暴行があった」との見解を披露した。この点は注目に値する。逮捕当時、暴行を否認していた男性2人が裁判を通じて暴行を認めたのであれば、「新たな事実が出てきたことになり、不起訴処分にした新潟地検は理論上、再起(再捜査)も可能」(元検事の飽津史隆弁護士)となるからだ。
「早く立ち直って」
 「(原告と被告が)前向きになるために裁判はある。一定程度納得でき、一定程度時期がたったなら、和解の道を模索するのもあり得る」と“時の経過”を強調した遠藤氏。NGT48の今後の活動について聞かれ「新たに出発して、自分たちで夢に向かって頑張っていってほしい。みなさんも応援してくれたら」と語った。
 約1年に及んだ裁判が終結したことを受け、「早く新しいシングルをリリースしてほしい」というファンの声も聞こえる。しかし、NGT48劇場の公式ホームページのスケジュールは5月以降、新型コロナウイルスの影響でほとんど白紙となっており、1年前と同じ状態に戻っている。
 新潟市の40代男性は「これからというときに事件が起きて残念だった。今度は裁判が終わったのに、新型コロナウイルスがきてしまい、本当についてない。早く立ち直ってほしい」と話した。