【安倍政権考】新型コロナが憲法議論を直撃 かたくなな野党に“後退”を実感 - 産経ニュース

【安倍政権考】新型コロナが憲法議論を直撃 かたくなな野党に“後退”を実感

昨年開催された衆院憲法審査会=令和元年11月28日、衆院第18委員室(春名中撮影)
 今国会も憲法改正をめぐる与野党の議論が停滞している。立憲民主党などの主要野党が新型コロナウイルス対策を優先させるよう求め、憲法審査会の日程などを協議する幹事懇談会の開催すら反対しているためだ。早期開催を求める自民党はいらだちを強めているが、コロナショックという“大義名分”を得た野党が耳を貸す様子はない。
 「幹事懇の開催すら受け入れられないというのは全く納得できない。強く抗議したい」
 衆院憲法審査会の新藤義孝与党筆頭幹事(自民)は19日、山花郁夫野党筆頭幹事(立民)と国会内で会談後、記者団を前に不快感を示した。2月12日以降、憲法審の運営について話し合う幹事懇の開催を断続的に求めてきたが、野党側は「コロナ対策があるので今は応じられない」との立場を崩さず、この日も合意に至らなかったからだ。
 野党はかねて、「安倍晋三政権下の改憲論議」に慎重な立場だったが、新型コロナの問題が表面化してからは傾向に拍車がかかっている。令和2年度予算案が衆院を通過した2月下旬以降、他の委員会の開催には応じる一方で、憲法審だけを対象外としている。新藤氏も「前は審査会を『開く』『開かない』かでいろいろあったが、今は『幹事懇をやらない』と言っている」と述べ、“後退”を実感している様子だ。
 とはいえ、与党内では幹事懇すら拒むことへの批判は強まっている。野党がかたくなな態度を崩さなければ、与党や日本維新の会など改憲に前向きな政党だけで審査会を開く可能性が現実味を帯びる。憲法に詳しい自民党関係者は「あらゆることを想定しているが、あらかじめ言うことではない」と“戦闘準備”をほのめかす。
 与党にとっては、国民に憲法改正の必要性を理解してもらうための努力も重要になる。
 新型コロナの流行に焦点が当たった際、自民党内では憲法を改正して「緊急事態条項」を新設する構想が注目を集めた。中国から帰国した邦人が感染の有無を調べる検査を当初拒否したことなどを受け、国民の権利を一時的に制限してでも公益を守る必要性を訴える声が出てきたためだ。
 しかし、その後は「人命に関わっている問題を憲法改正に悪用しようとする姿勢は許されない」(立民の枝野幸男代表)などの反対意見に押され気味で、沈黙を余儀なくされている。
 自民党の伊吹文明元衆院議長は19日の二階派(志帥会)会合で「自民党は現実主義的融通無碍な政党であり、新型コロナの蔓延阻止や経済対策を放って、憲法改正に取り組もうなんて考えている人は誰もいない」と強調。その上で「解釈改憲でいくのか、あらかじめ緊急事態条項を入れておくのかは考えておかないといけない」とも述べ、緊急時だからこそ語るべき改憲テーマがあると訴えた。
(政治部 内藤慎二)