一蘭がとんこつ不使用ラーメン? ラーメン人気高まるイスラム圏に熱視線 - 産経ニュース

一蘭がとんこつ不使用ラーメン? ラーメン人気高まるイスラム圏に熱視線

「一蘭 なんば御堂筋店」の100%とんこつ不使用ラーメン=大阪市中央区(前川純一郎撮影)
100%とんこつ不使用をうたった「一蘭 なんば御堂筋店」=大阪市中央区(前川純一郎撮影)
インドネシア・ジャカルタのショッピングモールに入るラーメン店=7月26日、インドネシア・ジャカルタ(鈴木俊輔撮影)
 今や日本の国民食となったラーメン。大阪や東京など都市部のラーメン店には訪日外国人客(インバウンド)の姿も目立ち、外国語のメニューを常備する店も増えている。そんな中、豚骨ラーメン専門店「一蘭」(本社・福岡市)が売り出しているのが「100%とんこつ不使用ラーメン」。豚骨ラーメン専門店が手がけたにもかかわらず、豚を一切使わないことがコンセプトという摩訶不思議(まかふしぎ)な一品だ。その狙いとは。(鈴木俊輔)
 《No Pork Ramen》
 店名を囲むように、こう英語で記した看板を掲げるのは、8月8日に大阪・ミナミにオープンした「一蘭なんば御堂筋店」。おなじみの豚骨ラーメンはなく、「100%とんこつ不使用ラーメン」の専門店だ。
 「豚骨ラーメンを世界一研究しているからこそできた一杯」。担当者が胸を張るラーメンは、こってりしていそうな琥珀(こはく)色のスープの中に細麺が踊る。チャーシューの代わりは柔らかく煮た牛肉だ。
 一口すすると、濃厚なうまみが広がる。スープは鶏ベース。アルコールを含む調味料も一切使っていないという。同社は「特定の客層を狙ったものではない」とするが、イスラム圏からの客の存在が見え隠れする。
 世界に16億人の教徒がいるとされるイスラム教では、豚肉やアルコールを口にすることは禁じられており、豚肉に使った鍋や食器を使うことさえ敬遠する人も少なくない。
 とんこつ不使用ラーメンは、イスラム教の戒律に合致していることを示す「ハラル認証」こそ取得していないが、調理の過程から一切の豚とアルコールを排除。2月にとんこつ不使用ラーメン1号店として登場した東京・西新宿店では、イスラム圏からの観光客の姿も目立っているという。
 背景には、イスラム教徒の中には、ハラル認証がなくても店側の説明などで戒律に反しないと判断できれば、口にする人も多いということがある。
 日本のラーメンは鶏ガラや豚骨、魚介のスープが一般的だが、鶏や魚介のスープでも、ほとんどの店でチャーシューや豚の脂であるラード、微量のアルコールを含むしょうゆを使う。一切使わない店を見つけるのは難しく、訪日するイスラム教徒にとってラーメンは、縁遠い食べ物の一つ。
 だが、イスラム圏でもラーメン人気が高まっている。総人口の87%がイスラム教徒とされるインドネシアの首都・ジャカルタにある繁華街「ブロックM」はラーメン店激戦区で、インドネシア人も多く訪れる。日本で暮らした経験もあるという男性は「ここ数年で人気が高まり、店も急激に増えた」と話す。
 ショッピングモールのラーメン店は、一杯250円程度で提供している。チャーシューが鶏肉であることを除けば、鶏ベースのスープはニンニクが効いており、日本人の口にも合う。客は女性同士やカップルの姿が目立つ。店員は「イスラム教徒でも食べられるように豚は使っていない。若い人に特に人気」と語る。
 イスラム圏は、インバウンドを増やす大きな可能性を秘めている。2018年のインバウンドは約3119万人。中国と韓国が半数を占める。
 一方、インドネシアからは約39万人。10年前の約6倍だが、人口(2億5500万人)や経済成長が著しいことを踏まえるとさらなる増加も見込まれる。国民の6割がイスラム教徒のマレーシアも10年で約4倍と、イスラム圏のインバウンドは、飲食店などにとって大きなビジネスチャンスを生む可能性がある。
 一方、食事に制限があるイスラム教徒の受け入れには、安心して食事ができる店とレパートリーを増やすことは必要不可欠だ。「とんこつ不使用ラーメン」は、その試金石となれるか。