【太陽光発電は人を幸せにするか】(10)川勝平太静岡県知事も、小野達也伊東市長も最初は歓迎だった太陽光発電 想定外の開発に「ここまでになるとは…」 - 産経ニュース

【太陽光発電は人を幸せにするか】(10)川勝平太静岡県知事も、小野達也伊東市長も最初は歓迎だった太陽光発電 想定外の開発に「ここまでになるとは…」

太陽光発電所
山腹に見える「さんふらわー」が建設した太陽光発電所。林が伐採されているのが分かる=7月23日、静岡県熱海市下多賀(三枝玄太郎撮影)
急斜面に作られた太陽光発電所。木の切り株が見える=静岡県熱海市下多賀(熱海市民提供)
伊東、熱海の市境に建設された太陽光発電所。向こうに見えるのは熱海市の住宅地=7月13日、静岡県伊東市宇佐美(三枝玄太郎撮影)
斜面に建設された「イーゲート」が販売した太陽光発電所。伊東市内が一望できる=7月13日、静岡県伊東市池(三枝玄太郎撮影)
静岡県伊東市のメガソーラー建設計画に林地開発許可を与えたと発表する川勝平太知事=7月2日、静岡県庁(田中万紀撮影)
陳情書を経済産業省に提出後、取材陣に対応する中田次城県議(右から2人目)=8月22日、東京都千代田区の経済産業省(三枝玄太郎撮影)
経済産業省の大串正樹・大臣政務官(左から2人目)の陳情文を手渡す高田光朗・いとう漁協代表理事組合長。左は勝俣孝明衆院議員。左から3人目は日吉直人・いとう漁協代表理事専務、右から2人目は「伊豆高原メガソーラーパーク発電所計画から海を守る会」の泉光幸代表=20日午後、東京都千代田区(三枝玄太郎撮影)
ブルーキャピタルマネジメントによる大規模な太陽光発電所計画地から1キロ足らずの場所にある伊東市の水がめ、松川湖=7月23日、静岡県伊東市鎌田(三枝玄太郎撮影)
 「あんたたちマスコミは反対の声ばかり取り上げて。あんな二束三文だった使い勝手のない山が役に立つんだから良いじゃない。反対しているのはごく一部の活動家よ」
 伊豆高原メガソーラーパークの計画地の一部を所有していた静岡県伊東市の不動産業者は怒っていた。この会社が伊雄山の地権者を賛成でまとめた。
 「山が10倍以上の値段で売れた。今になって反対したって仕方ないでしょう。市だって税収になるんだから良いじゃない」
 八幡野の住民が明かす。「最初は1坪100円だった土地が、最後は1坪数千円で売れたと聞きます。ゴルフ場計画がだめになって、困っていた地主も多かったでしょうから、メガソーラー計画は渡りに舟だったでしょう」
 だが、反対運動は沈静化しなかった。
 8月10日、伊豆高原メガソーラー発電所の敷地の一部を伐採した。ハンファエナジージャパン(東京都港区・ハンファ)に対し、伊東市は、市の条例に違反したとして経済産業省に通報。同省はFIT(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置)法に違反する事実があれば、資格の取り消しを含めた措置を取るとして、調査を始めた。
 当初から太陽光発電が伊東市で嫌われていたわけではない。今は伊豆高原メガソーラーパーク発電所に反対を言明している政治家の多くも、平成23年3月の東日本大震災の後、しばらくは太陽光発電所が普及することを歓迎していた。
 日本経済新聞の記事によると、川勝平太知事は東日本大震災から1カ月後の平成23年4月11日、定例記者会見で「太陽光を中心にして、新エネルギーへの転換を思い切って進める。プランを前倒しして進める」と述べている。「プラン」とは、23年3月に策定した「ふじのくに新エネルギー等導入倍増プラン」。新エネルギーの導入率を2020年度末までに10%以上に高めるというものだった。
 川勝知事は、このとき「太陽光発電設備を導入している企業を積極的に誘致する」とも述べているが、山間部にこれほど巨大な太陽光発電所が建設されることは想定していなかったのではないか。
 今年3月、定例会見では一転して「これほど大量のメガソーラーがつくられるとは、東日本大震災以前は考えられていなかった。(県内の太陽光発電の設備容量は震災以前に)わずか9万キロワットくらいだったのが、今は100万キロワットになった。それを誇っていた。私たちも(太陽光発電を)進めてきた経緯がある」と自省ともとれる発言をしている。(SANKEI BIZ3月19日配信分)
 県議のころ、小野達也・伊東市長(55)は太陽光発電のコンサルタント業務を行っていた。自身が経営する丸達水産(市長就任後は代表取締役から退く)の法人登記簿には平成27年11月、目的欄に「太陽光等の再生可能エネルギー事業に関するコンサルタント」と新たに付記されている。
 また、伊豆高原メガソーラーパーク発電所の建設に早くから反対してきた中田次城県議(53)も、自身が経営する不動産会社と同じ住所に「伊東鎌田太陽光発電所合同会社」を設立していた。
 中田氏は「当時は公職についておらず、地元鎌田区の町内会長をしていた。鎌田区の厳しい財政事情に資することはないかと、区役員会の総意で、鎌田の区有地で平坦な部分を有効活用しようという話がありました」とし、「大阪の太陽光発電事業者から話があった。その後、それ以上、話が進まなかったのでそのままになっていました」と説明した。
 伊東市の佃弘巳前市長(71)時代に行われた太陽光発電所の積極的な誘致。同市やその周辺では、急峻な傾斜地に立つ太陽光発電所を目にする。
 天城霊園(伊東市八幡野)に向かう坂を登ると、途中に「イーゲート」(東京都渋谷区)、「イスズ」(川崎市)の1ヘクタール前後の太陽光発電所が見えてくる。イーゲートの発電所からは伊東の街並みが一望できる。ただ、この場所は建設中に土砂の流出があり、伊東市議会本会議でも取り上げられた。「イスズ」の社長は「土砂の流出などがないように配慮している。今までうちでは1件も事故はない」と取材に答えた。
 伊東市の北隣、静岡県熱海市下多賀では「さんふらわー」(熱海市)が山の急傾斜地に太陽光発電所を造った。
 これら住宅地を見下ろす急傾斜地の発電所などを見ていると「自然に優しい太陽光」は業者側のお題目に過ぎないのではないかと思えてくる。(WEB編集チーム 三枝玄太郎)