【大前恵の勝つための食育】巨人・上原浩治投手、体重管理で「トリプル100」達成 - 産経ニュース

【大前恵の勝つための食育】巨人・上原浩治投手、体重管理で「トリプル100」達成

中日戦の試合前、100勝100ホールド100セーブ達成の記念セレモニーでボードを手にする巨人・上原浩治=7月29日、東京都文京区の東京ドーム(撮影・大橋純人)
中日戦の試合前、巨人・上原浩治の100勝100セーブ100ホールド達成の記念セレモニーが行われ、長男の一真さん(右)から花束が手渡された=7月29日、東京ドーム(撮影・荒木孝雄)
 「勝てば良かったけど、偉業は偉業。尊敬しています」
 7月20日。巨人の上原浩治投手が広島戦に登板し、日米通算での100勝100セーブ、100ホールドの「トリプル100」を日本人選手で初めて達成しました。先発、中継ぎ、抑えと投手が担うすべてのポジションでいずれも大台到達。記録達成後の7月29日は、東京ドームで息子さんも招かれての記念式典が行われました。
 上原投手が20代前半だったころから食生活のサポートを担ってきた私にとっても、本当にうれしいニュースでした。当日の様子はインターネットの動画中継でチェック。祝福のLINEメッセージを本人に送りました。翌朝、上原投手からはVサインの絵文字が返ってきました。
 思い返せば、2007年にチーム事情から抑えに回った上原投手は翌08年、自らの希望で先発へ復帰しました。しかし、このシーズンは開幕当初から苦戦。不調続きで「何もできないというのは、こういうことなのかな」と壁にぶち当たっているように見えました。09年からはメジャーへ挑戦。けがにも悩まされました。
 最初は先発でしたが、中継ぎ、抑え、再び中継ぎとポジションを変えつつ、9シーズンに渡ってメジャーのマウンドに立ち続けました。「チームが勝つために何ができるか、自分が生き残るために何ができるか」。そんなことを考えて生き抜いてきたことでしょう。
 栄養管理の面でも変化を求められました。
 先発のときは週1回、前日から炭水化物を多く食べて、また1週間を自分のペースで食事管理も含めて調整します。中継ぎや抑えは日々、登板に備えなければなりません。先発以外の投手陣は試合中、ブルペンでの待機が2時間近くになります。
 この間も状況に応じて、登板30分前に炭水化物を多く含んだジェルを飲用。試合後の食事が深夜になることもあり、体重コントロールも必要になりました。よくも悪くも「なるようになれ」という感覚で、しっかり自己管理ができる選手に適したポジションです。上原投手はいずれのポジションでも、しっかりと適応してきました。
 そんな上原投手に苦言を呈したのは、巨人に復帰した今年6月のことでした。日本球界に復帰して数カ月が経過し、周囲の人たちから「上原投手の体重が増えている」ということを小耳に挟んだからです。筋力アップなど狙いがあっての体重増ではなさそうでした。
 久々の日本球界。チームの後輩やスタッフとコミュニケーションを図るために会食の機会が増え、さらにはメディアなど多くの関係者も上原投手を食事に誘う状況が続いていたのでしょう。食事時間が変則になり、当然ながら口にするお酒の量も増えてしまいます。一流選手ですから、付き合いが増えるのは仕方ないことだということはわかりますが、私としては釈然としませんでした。
 かつての上原投手は、節制を怠って体形が崩れていく周囲に対し、「だから、プロ野球選手は駄目なんだって言われる」と怒っていたからです。
 「今の上原君は、そんな野球選手と同じじゃん。もうキャリアは十分だし、このままでも十分かもしれないけど、悔いが残るようなことはしてほしくない」
 体が重く感じると打ち明けた上原投手に、私は淡々とした口調ながら、厳しいことを言いました。栄養サポートを任された上原投手がまだプロ4年目だったとき、春季キャンプ地の宮崎まで乗り込んで、お酒の飲み過ぎを注意して以来のことでした。
 もちろん、現在の上原投手は食生活にも意識の高いトップ選手です。私に言われて、どうこうするような選手ではありません。おそらく、自分でも「このままではいけない」と思ったのではないでしょうか。夏場にかけて、体重を落とし、調子も上げての大記録達成へとつなげたのです。
 その後は2軍での調整も余儀なくされましたが、大事な終盤戦にベテランの存在は欠かせません。「トリプル100」でさえも通過点。上原投手のキャリアに終わりは見えません。