【外交安保取材】「即位の礼」など来年は国際行事ラッシュ 外務省は“ジクソーパズル”完璧に解けるか? - 産経ニュース

【外交安保取材】「即位の礼」など来年は国際行事ラッシュ 外務省は“ジクソーパズル”完璧に解けるか?

平成の「即位礼正殿の儀」に際しては海外からの参列は158カ国、2国際機関の代表ら474人に達した=平成2年11月12日、皇居・長和殿前
平成2年11月12日、「即位礼正殿の儀」で当時の海部俊樹首相(左端)の万歳三唱をうけられる天皇、皇后両陛下=皇居・宮殿「松の間」
平成22年11月14日、横浜で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の後の羽田空港の様子。手前はオーストラリア政府専用機、後ろはカナダ政府専用機(鈴木健児撮影)
来年6月のG20首脳会議の会場となる「インテックス大阪」=6月、大阪市住之江区(本社ヘリから、彦野公太朗撮影) 
平成25年6月3日、横浜市で開かれた第5回アフリカ開発会議(TICADV)の閉会式後、各国首脳と握手する安倍晋三首相
 外務省が8月末にまとめた平成31年度予算の概算要求は8102億円と、前年度当初比で16%もの大幅増となった。来年以降の「国際行事ラッシュ」への対応が主因だ。新天皇の即位を国内外に示す「即位礼正殿の儀」(即位の礼)をはじめ、大規模行事の開催が相次ぎ、外国要人がまとまって来日する日程が続く。VIPを迎える外務省の接遇オペレーションも空前の規模になりそうだ。
 来年、日本で開かれる国際行事で特に規模が大きいものは、20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪市、6月28~29日)▽第7回アフリカ開発会議=TICADVII(横浜市、8月28~30日)▽ラグビーワールドカップ(各地、9月20日~11月2日)-がある。
 G20は日本初開催で、閣僚会合も各地で予定される。TICADはアフリカ50数カ国の首脳らが一堂に会する大イベントだ。ラグビーW杯は期間中に最大で40万人の訪日外国人が見込まれる。しかし、それらを上回る規模となりそうなのが10月22日の「即位の礼」だ。
 平成2年の「即位の礼」では、約160の国・機関から外国要人が参列。うち120カ国が首相級以上だった。ベルギーのボードワン国王、英国のチャールズ皇太子、ドイツのワイツゼッカー大統領ら、著名な国家元首や王族らが数多く来日した。
 その後、旧ソ連の崩壊などで国の数が増え、日本政府は今回、約200の国・機関に案内を出す見込みだ。前回並みの出席率なら首相級以上だけで約160カ国になる計算で、「想像を絶する規模」(外務省担当者)になる。
 それだけに、舞台裏で段取りを整える事務方の作業量も桁外れになる。担当者によると、課題の一つは「飛行機の置き場」だという。
 民間定期便での来日ならよいが、政府専用機やチャーター機など特別機の場合は滞在中の駐機場を用意しなければならない。
 全国の空港に分散して収容することになるが、「7カ国だけのG7ですら場所の確保は簡単ではない」(担当者)。それどころか「即位の礼」では、特別機は最大で約130機に達するというのが外務省の見積もりだ。来日・離日が集中する激烈なラッシュアワーをどう乗り切るかも課題だ。
 宿舎の確保も担当者の頭を悩ませる。
 ホテルには格式の上下があり、各国要人をどう割り振るかは極めてデリケートな作業だ。随行員の数や、同じホテルを割り当てた場合の国同士の「相性」、それぞれの国がひいきにしている「定宿」など、計算に入れるべき要素が非常に多い。
 さらに大きな問題はスイートルームの確保だ。割り当ては1フロアに1国が大原則のため、同じフロアに複数のスイートが並ぶ構造なら1国しか使えない。「即位の礼」はラグビーW杯と期間が重なるため、観戦に訪れる海外富裕層の需要ともバッティングする恐れもある。
 そうした問題をクリアして迎えた当日、最も担当者が神経を使う問題の一つが、ホテルから会場へ送り出す際のエレベーターの手配だという。
 随行員ら「格下」の人から順に下ろしていくのが原則で、誰をどのタイミングでエレベーターに案内するかは、事前に秒単位で計画を立てる。
 ところが「必ず途中で遅れる国が出てくるので、臨機応変に順番を入れ替えて計画を組み直さないといけない」(担当者)。そのしわ寄せで、最後にホテルを出る「最も格上の人」が行事に遅刻し、恥をかかせてしまったら大失態だ。
 このほかビジネスミッションによる商談や観光など、各国の希望に応じた個別日程も準備しなければならない。世界中から押し寄せるメディア向けに宿舎や取材拠点を手配する必要もある。担当者は、こうつぶやく。
 「サイズも形もバラバラの大量のピースを組み合わせるジグソーパズル。しかも直前まで全体のピースが確定しないという…」
 もちろん大変なのは外務省だけではなく、警備の警察当局や宿泊先ホテルなど民間も同じことだ。再来年には東京五輪・パラリンピックも待っている。関係者の安息は当面なさそうだ。 (政治部 千葉倫之)